個人のインバウンドマネーはどう動くか
今回もバブルが崩壊すれば、ほぼ同様な事態が発生するでしょう。それまで六本木を意気軒昂に闊歩していた人たちが、行きつけのバーやクラブからその姿を消していくことでしょう。
そして駐在していた外国人幹部は「また会う日まで」と言って、母国にご帰還あそばされるということです。いつの時代でも外資系ファンド会社や投資銀行、証券会社に勤める日本人社員は若くても高給取りで、女性にもてると聞きますが、彼らの寿命は意外と短いのです。
それでも、理由はどうあれ「宴の終わり」をドライにとらえ、組織を解散し、来るべき日に備えるのがインバウンドマネーです。
もうお気づきだと思いますが、そう、彼らインバウンドマネーには「帰る」場所があるのです。日本企業だって海外事業で失敗した時には、まっさきに現地法人を畳んですたこらサッサと日本に帰るではありませんか。そのとき現地採用の人の面倒を見るような奇特な企業はないのです。
ついでに言えば、六本木のお店も何も心配はありません。しばらくお店は閑古鳥が鳴くかもしれませんが、また新たな種族の成金たちに「入れ替わる」だけなのですから。
今回のバブルでさらに特徴的なのは、個人のインバウンドマネーの存在です。このマネーは、湾岸エリアのタワマンのみならずニセコや白馬などのリゾート地にも幅広く浸透しています。もう少し庶民的なインバウンドマネーは都心部のアパートなどにも投資をしています。
このマネーには大きくいって2種類があるようです。一つが、東京五輪開催などによる不動産の値上がり益を見込んで純粋に投資として判断して日本にやってきたもの。そしてもう一つが、中長期的に日本の不動産を投資ポートフォリオの一つとして組み込んでおこうという目論見を持ったマネーです。
実は、前者のマネーは2016年頃から日本から引き揚げ始めています。湾岸エリアの不動産仲介会社によれば、このエリアの中古物件は「買い」よりも「売り」が優勢になっていて、すでにアービトラージ(鞘取り)をとっていったん「手じまい」をしている人が多いそうです。株式市場と理屈は同じです。皆が一斉に「売り」に入る東京五輪開催前後ではなく、少し早めに利益確定を行なうこと、これは投資の鉄則です。