「なんぼ稼げるか」…米国投資家が大阪に不動産を買ったワケ

新型コロナウイルスの感染拡大によって景気後退が叫ばれ、先行き不透明感が増すなか、日本経済はどうなるか、不動産はどう動くのかに注目が集まっている。本連載は、多くの現場に立ち会ってきた「不動産のプロ」である牧野知弘氏の著書『業界だけが知っている「家・土地」バブル崩壊』(祥伝社新書)より一部を抜粋し、不動産の現状と近未来を明らかにする。

投資マネーが都心不動産価格を支えている

都会の不動産は値上がりし、地方にはその恩恵が来ない。この構図は平成バブル時によく言われた、たとえば「大分にはバブルは来なかった」といったレベルではなく、エリアによる「不動産格差」は、平成バブル時以上に拡大する一方になっています。

 

平成バブル時は、多くの法人個人がこの宴に参戦し、日本全体がバブルに酔いしれたところがありました。しかし、今回の不動産の好況について、ほとんどの人がその恩恵に与れていないどころか、「怪しい」「そんなわけないだろ」とやや冷めた表情で傍観しているというのが正直な感想なのではないでしょうか。

 

この背景には、前回のバブル時と比べて、不動産が金融と深く結びついてしまったところに原因があります。

 

不動産格差はバブル期以上に拡大している。(※写真はイメージです/PIXTA)
不動産格差はバブル期以上に拡大している。(※写真はイメージです/PIXTA)

 

本来不動産は、世界的に見てもきわめてドメスティックな存在です。つまり、不動産とは読んで字の如く、「動かせない」ものであるからです。車などの工業製品は船に積んで世界中どこにでも運び出すことができますが、不動産は運ぶどころか動かすことすらできません。そのために不動産は、存在する国や地域のルールに縛られ、その国や地域の景気の動向に敏感に反応してしまいます。工業製品のように世界標準ルールを適用するのが難しく、「外」から見ると、実に「扱いづらい」対象だったのです。

 

この扱いづらい不動産を「投資対象」として仕立て上げたのが、「不動産の証券化」と呼ばれるものです。簡単に言ってしまえば、不動産の証券化とは「不動産をより扱いやすいペーパー(証券)の形」に変換して、市場で自由に、瞬時に取引できるようにしてしまったのです。

 

日本では、こうした動きは1990年代の後半から始まりました。平成バブル崩壊後、低迷していた不動産を、この証券化という手法で解きほぐしていったのです。具体的には、平成バブル時に不動産に大量のお金を貸し込んで「塩漬け」になっていた銀行の不良債権を外資系金融機関が買い取って、ばらばらに小口化して世界の市場で売却しました。不動産に「金融」という手法が入り込んだ瞬間です。

 

証券にするということは、当然その裏づけとなる、不動産に関する情報を開示する必要が出てきます。土地が汚染物質などで汚されていないか、建物の耐震性は大丈夫かなどといった不動産インスペクション(調査)は、世界共通ルールのもとに整備されていきました。

 

その結果、これまで閉ざされていた日本の不動産が、世界で評価されるチャンスが生まれたのでした。

オラガ総研 株式会社 代表取締役

1959年、アメリカ生まれ。東京大学経済学部卒。ボストンコンサルティンググループを経て、三井不動産に勤務。2006年、J-REIT(不動産投資信託)の日本コマーシャル投資法人を上場。現在は、オラガ総研株式会社代表取締役としてホテルや不動産のアドバイザリーのほか、市場調査や講演活動を展開。主な著書に『空き家問題』『民泊ビジネス』『業界だけが知っている「家・土地」バブル崩壊』など多数。

著者紹介

連載不動産の動きを観察すれば、日本経済がわかる

不動産で知る日本のこれから

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牧野 知弘

祥伝社新書

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業界だけが知っている「家・土地」バブル崩壊

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牧野 知弘

祥伝社新書

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