新型コロナウイルスの感染拡大によって景気後退が叫ばれ、先行き不透明感が増すなか、日本経済はどうなるか、不動産はどう動くのかに注目が集まっている。本連載は、多くの現場に立ち会ってきた「不動産のプロ」である牧野知弘氏の著書『業界だけが知っている「家・土地」バブル崩壊』(祥伝社新書)より一部を抜粋し、不動産の現状と近未来を明らかにする。

大都市法改正、政策が誘導した都心居住

夫婦がそれぞれに職を持つということは、どういうことでしょうか。これまでは専業主婦が担っていた「家事」と「子育て」を、夫婦で分担していかなければ家庭は成り立たなくなりました。

 

特に問題となるのが「子供」です。日本では小学校に入学するのは学齢6歳からです。それまでは子供を幼稚園か保育園に預けることになりますが、夫婦共働きを前提とすれば、夜まで子供を預かってくれる施設が必要になります。

 

夫婦共稼ぎ家庭は郊外から会社に違い都心居住に。(※写真はイメージです/PIXTA)
夫婦共稼ぎ家庭は郊外から会社に違い都心居住に。(※写真はイメージです/PIXTA)

 

仕事が終わり次第、早く子供を引き取らなければならない。それなのに、たとえば家は東京の郊外、家から会社までは通勤で1時間から1時間半、というのではとても生活は成り立ちません。

 

それまでは、家庭は夫だけのいわば「一気筒エンジン」でした。妻は専業主婦であるかぎり、自然環境もよく、子育てがしやすい郊外の住宅で何らの支障はありませんでした。夫だけが長時間の通勤に耐えてもらえば、妻と子は郊外生活をエンジョイできたのです。

 

ところが、夫婦共働きの「二気筒エンジン」の家庭では、夫婦がそろって地獄の通勤に耐えて、保育園に子供を受け取りに行くことは不可能です。当然、会社の近くに住居を構えることを選択するようになります。

 

それでも、都心は地価も高く、マンションなどとても買える水準になかったのが、これまでの東京でした。

 

ところが、やはり1995年に、あたかもこうしたライフスタイルの変化を見越していたかのような大変革が起こるのです。

 

それが、大都市法の改正です。この改正は、三大都市圏において深刻化する住宅問題の解決を図るために、三大都市圏の都心部において住宅供給目標量を定め、その実施のために、都心部の容積率(敷地面積に対して建設することができる建物床面積の割合)を大幅に緩和したものです。

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不動産で知る日本のこれから

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牧野 知弘

祥伝社新書

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業界だけが知っている「家・土地」バブル崩壊

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