米国投資家は東京と大阪の違いを知らなかった
今でも忘れることができないエピソードがあります。私がREITの運用会社社長の時、IRで訪れたアメリカ人投資家に大阪で買った商業施設の説明をした時の反応です。物件に対する私の説明を途中で遮った彼は、たったひとこと。
「で、利回りは?」
利回りを説明しながら、
「でも大阪なのでもう少し利回りをとりたいところですが、これから内部成長(賃料アップ)させていきますんで」
と苦しい言い訳をする私に、
「別にいいではないか。これだけ利回りがあれば、ふん」
と答えたのでした。
実は彼は、東京と大阪の違いすらよくわかってはいなかったのです。私から見れば、大阪の商業施設は東京よりキャップレート(還元利回り)はもう少し高く(リスクを低く)買うべきだと思っていたので必死に言い訳を試みたわけでしたが、彼にとってはそれこそ利回りという数字だけがすべてであり、「オオサカ」とか「トウキョウ」なんて地名はどうでもよかったのです。
牧野 知弘
オラガ総研 代表取締役