(※写真はイメージです/PIXTA)

なにかと心配な高齢親の一人暮らし。しかし、老人ホームへ入居すれば安心、というわけではないようです。ここでは、一般的に資産が5,000万円から1億円未満の人のことを指す「準富裕層」にあたる母を老人ホームに入れたことで、苦境に立たされることとなった高橋美香さん(仮名)の事例から、セカンドライフの資産管理について、波多FP事務所の代表ファイナンシャルプランナーである波多勇気氏が解説します。

老人ホームという選択肢

高橋美香さん(仮名/42歳)は大企業に勤める会社員です。都内で夫と一人息子とともに、仲睦まじく生活していました。

 

母親の幸子さん(仮名/74歳)は郊外に持ち家があり、預金は5,000万円程度。これは、準富裕層と呼ばれる資産額です。幸子さんは5年前に夫を亡くしており、広い家にひとりで住んでいました。夫と一緒に築いた家に思い入れがあり、掃除や維持は楽ではないもののこだわりをもっています。

 

昨今、美香さんは幸子さんの体調を気にかけていました。背中が丸くなった気がする、動作に疲労がみられるなど、気に出したらキリがありません。美香さんは幸子さんに確認してみることにしました。

 

「お母さん、最近体調よくないんじゃない? もしもきついようなら、なにか相談に乗ってあげられるかもしれない。離れても家族なんだから、なんでも話してね」幸子さんにとってこれは、図星を突かれた形でした。「そんなに目に見えて弱っていたのか……」いささかショックではありましたが、それ以上に娘の優しさに心を打たれます。

 

「実は……」幸子さんは美香さんに最近体調が優れないこと、そして家の維持が難しいことを打ち明けました。美香さんは母の話を親身に聞き、解決策を講じました。老人ホームへの入居を勧めたのです。

 

幸子さんの預金が5,000万円もあれば、十分にいい施設で暮らしていけるだろうと美香さんは安心していました。母親も娘の提案を受け入れ、高額な入居金と毎月の費用がかかる高級老人ホームへと入居することになりました。

 

幸子さんの新しい生活は、初めこそ順調でした。快適な施設、プロによるケア、そしてほかの入居者との交流は、彼女にとって新しい生活のスタートを切るいい機会でした。しかし、その快適な生活は、想定以上に多額の支出を伴うものであり、数年後には予想外の事態に直面することになります。

 

注目のセミナー情報

​​【減価償却】11月20日(水)開催
<今年の節税対策にも!>
経営者なら知っておきたい
今が旬の「暗号資産のマイニング」活用術

 

【国内不動産】11月20日(水)開催
高所得ビジネスマンのための「本気の節税スキーム」
百戦錬磨のプロが教える
実情に合わせたフレキシブルな節税術

 

【関連記事】

■税務調査官「出身はどちらですか?」の真意…税務調査で“やり手の調査官”が聞いてくる「3つの質問」【税理士が解説】

 

■月22万円もらえるはずが…65歳・元会社員夫婦「年金ルール」知らず、想定外の年金減額「何かの間違いでは?」

 

■「もはや無法地帯」2億円・港区の超高級タワマンで起きている異変…世帯年収2000万円の男性が〈豊洲タワマンからの転居〉を大後悔するワケ

 

■「NISAで1,300万円消えた…。」銀行員のアドバイスで、退職金運用を始めた“年金25万円の60代夫婦”…年金に上乗せでゆとりの老後のはずが、一転、破産危機【FPが解説】

 

■「銀行員の助言どおり、祖母から年100万円ずつ生前贈与を受けました」→税務調査官「これは贈与になりません」…否認されないための4つのポイント【税理士が解説】

 

 

次ページ入居から5年

人気記事ランキング

  • デイリー
  • 週間
  • 月間

メルマガ会員登録者の
ご案内

メルマガ会員限定記事をお読みいただける他、新着記事の一覧をメールで配信。カメハメハ倶楽部主催の各種セミナー案内等、知的武装をし、行動するための情報を厳選してお届けします。

メルマガ登録
会員向けセミナーの一覧