新型コロナはセーフ…金利上昇の「非常事態」で不動産の危機

新型コロナウイルスの感染拡大によって景気後退が叫ばれ、先行き不透明感が増すなか、日本経済はどうなるか、不動産はどう動くのかに注目が集まっている。本連載は、多くの現場に立ち会ってきた「不動産のプロ」である牧野知弘氏の著書『業界だけが知っている「家・土地」バブル崩壊』(祥伝社新書)より一部を抜粋し、不動産の現状と近未来を明らかにする。

侮ってはいけない「金利」と「有事」

住宅ローンを組む、あるいは不動産投資のためにローンを組む際に、最近よく聞かれる声があります。

 

「金利なんてクズみたいなもの。この先も上がらないだろうから一番低い条件の変動金利でいいんじゃね?」
「夫婦で稼いでいれば、返済もたいしたことないわ。それにローン減税で税金は戻ってくるし、お金を借りて儲けているようなものだわ」

 

日本人はあまりに「金利」と「有事」に対して無防備。(※写真はイメージです/PIXTA)
日本人はあまりに「金利」と「有事」に対して無防備。(※写真はイメージです/PIXTA)

 

期間35年ものローンを組むことに対して発せられるセリフに、次のようなものがあります。

 

「うちは大企業だし、つぶれないから安心よね」
「返済は70歳までだけど、最後は退職金で全部返すから平気」


住宅を買うのは人生最大の買い物でもあるので、心の高揚があることはよくわかります。ローン金利は史上最低レートともいわれ、変動金利を選択すれば銀行によっては0.5%を下回る破格のレート設定がなされているところもあります。期間も、「フラット35」などを利用すれば35年、返済年齢最長80歳までのローンを組むことも可能です。


なんとも好条件がそろっているわけですから、「買わなきゃ損」「借りなきゃ損」という気持ちにもなろうというものです。


しかし、こうした会話を聞いて、長く不動産業界にいた私から見ると、「いかにも能天気な」セリフに聞こえてしまうのは思い過ごしでしょうか。私には彼らが、あまりに「金利」と「有事」に対して無防備に見えるからです。


金利とはお金を出す側から見れば、その対象(借りる人や企業、あるいは担保となる物件)にどれだけのリスクをかけるかのモノサシのようなものです。銀行は貸し出すための原資を、預金者や中央銀行などから調達します。そのコストにどれだけ利益を上積みすれば収益を上げることができるかを判断して、金利は設定されます。

オラガ総研 株式会社 代表取締役

1959年、アメリカ生まれ。東京大学経済学部卒。ボストンコンサルティンググループを経て、三井不動産に勤務。2006年、J-REIT(不動産投資信託)の日本コマーシャル投資法人を上場。現在は、オラガ総研株式会社代表取締役としてホテルや不動産のアドバイザリーのほか、市場調査や講演活動を展開。主な著書に『空き家問題』『民泊ビジネス』『業界だけが知っている「家・土地」バブル崩壊』など多数。

著者紹介

連載不動産の動きを観察すれば、日本経済がわかる

不動産で知る日本のこれから

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牧野 知弘

祥伝社新書

極地的な上昇を示す地域がある一方で、地方の地価は下がり続けている。高倍率で瞬時に売れるマンションがある一方で、金を出さねば売れない物件もある。いったい日本はどうなっているのか。 「不動産のプロ」であり、多くの…

業界だけが知っている「家・土地」バブル崩壊

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牧野 知弘

祥伝社新書

不動産が高騰し続けている。 銀座の地価は1980年代のバブル期を上回り、三大都市圏と「札仙広福」(札幌・仙台・広島・福岡)の上昇が著しい。国内外の投資マネーの流入、外国人富裕層の購入を背景に、超大型ビルや再開発の計画…

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