「かぼちゃの馬車」事件で不動産投資ブーム、終結。ウィステリア・グループ株式会社の代表である藤本好二氏は、書籍『不動産投資業者のリアル』(幻冬舎MC)にて、新築1R業者・客付仲介会社・管理会社・買取販売会社をはじめ、ブームの陰で暗躍していた「極悪な業者」の実態を大暴露している。

ローン額「平均1億円」甘い言葉で投資家を呼び込み…

ただ、詳しくは後述しますが、サブリースというスキームにおいて最も得をするのは、ほとんどの場合、オーナーではなく業者です。サブリースの多くは、土地の販売会社、建設会社、サブリース業者などが一体となって行われており、業者たちはまず建設費用の部分で大きな利益を出し、それをキックバックなどのかたちで分配します。あえて極端な話をすれば、建設時に空室リスクを超えるような利益を出してしまえば、「勝ち」なのです。

 

また、長期を謳うサブリース契約でも、契約書をよく見れば「数年ごとに家賃を見直す」という内容が、多くの場合とても小さな文字で書いてあります。日本の法律は家の貸し手よりも借り手に対する庇護が厚いこともあり、家賃を下げる交渉は業者側が圧倒的に有利です。ほとんどの場合、相手の要求を呑むはめになり、オーナーの利益はどんどん下がっていきます。

 

「かぼちゃの馬車」も、典型的なサブリース事業です。投資家に不動産を紹介し、建設費用込みの銀行ローンを組ませて、シェアハウスを新築で建設。それをスマートデイズが一括で借り上げて、家賃を30年間保証する契約でした。

 

投資家は平均1億円ともいわれる高額ローンを組むことになりますが、スマートデイズが「利回りは8%前後」と宣伝していたこともあり、3%台後半の高利を払っても十分に利益が出ると注目を集めました。通常の家賃にプラスして利益が上がり、毎月資産が増えていくという謳い文句が、投資家にとって甘い罠となりました。

 

ちなみになぜ、一般的なアパートやマンションの2倍近くにあたる「8%前後」という高い利回りを示すことができたのかといえば、その理由の一つに「シェアハウス」であることが挙げられます。風呂やトイレを共有するシェアハウスでは、一部屋の専有面積が小さくて済むため、利回りが普通のアパートよりも高くなりがちです。

 

それに加え、「かぼちゃの馬車」の物件は、賃料が周囲の物件よりも高めになっており、共有スペースの面積も小さいものだったといいます。

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不動産投資業者のリアル

不動産投資業者のリアル

藤本 好二

幻冬舎メディアコンサルティング

「かぼちゃの馬車」事件で不動産投資ブーム、終結。 新築1R業者、客付仲介会社、管理会社、買取販売会社。ブームの陰で暗躍していた「極悪な業者」の実態を大暴露。

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