実際の入居率は「4割」…黒幕は本当にスルガ銀行か?
戸建てを建てるのがせいぜいの土地に無理やりシェアハウスを建て、通常なら2世帯しか住めないところに5部屋も6部屋も作ったとしたら、利回りは当然高くなります。
さて、ここで一つ疑問が浮かんだのではないでしょうか。家賃が高く、共有スペースの狭いシェアハウスに、いったい誰が住むのか。借り手側から見れば、魅力的な物件とはほど遠いものです。
「かぼちゃの馬車」はターゲットを女性に絞り、壁紙などを女性好みにアレンジするなどといった手を打ってはいましたが、それでも入居率は4割ほどだったという指摘もあります。いくら建設時のキックバックなどで儲けたとしても、空室率が5割を切るような物件では、サブリースのスキームは成り立ちません。それが、スマートデイズが経営破たんした理由の一つです。
■事件の黒幕は「スルガ銀行」だったのか
入居率を上げられずともサブリース業者が成長を遂げていくには、とにかく新しい物件を販売し続けるしかありません。長期的に見れば赤字になる可能性が高くとも、短期では物件を紹介し、さばくほど利益が積み上がっていきます。
しかしもちろん、そんな自転車操業が長く続くはずはありません。それでもスマートデイズがここまで躍進できたのは、彼らを裏で支える強力なサポートがあったからにほかなりません。それが、スルガ銀行です。
スマートデイズが扱っていた物件数は約800棟、部屋は1万室にものぼるとされていますが、スルガ銀行はそのほとんどの案件で融資を引き受けていました。つまりスルガ銀行なくして、スマートデイズは成り立たなかったということです。
実際に2017年秋、スルガ銀行が融資の要件を厳しくしたことでスマートデイズの資金繰りは悪化し、倒産へとつながっていきました。今回の事件の黒幕と揶揄(やゆ)されることもあるスルガ銀行とはどういった金融機関なのか、ここで解説しておきます。
スルガ銀行は、静岡県沼津市を本拠地とする地方銀行です。横浜銀行と静岡銀行という大手地銀に挟まれる立地であり、生き残るためには独自の営業戦略を模索するしかありませんでした。