「不動産は立地で決まる」は本当か?
このように、「頭では理解しているつもりでも気持ちが先走ってしまう」ということは、不動産に限らず、いろいろな場面である。
だからこそ、最初はなかなか買えなかったとしても、「不動産はご縁」だからと、グッと我慢して、自分の本来の目的をかなえるための不動産を探し、買い付けを入れていくことが重要だ
では、不動産を購入するときのそれぞれの条件を見ていこう。
まず立地についてだが、家主業を左右するのは購入する不動産の立地で決まるのではないか、という疑問を抱く人は少なくないだろう。「良い立地」の定義を「資産価値が下がりにくい地域」とした場合、大都市圏の駅から徒歩10分以内の交通の利便性が良い条件の土地となる。
その疑問に答える前に、本連載では、不動産を購入して転売し利益を得る方法 を「不動産投資」とし、「私的年金」として、不動産を購入して家賃で収入を増やす方法を「家主業(賃貸経営)」としていることを認識してほしい。単純に転売益を目的とした不動産投資については、立地がすべてだろう。しかも資産価値が下がりにくいばかりか、購入したときよりも値上がりが期待できる立地の不動産かどうかが重要だ。
もちろん、家主業においても、立地が良ければ入居者は確保しやすく、家賃収入も得やすい。不動産の立地が、経営に大きく影響を与えることは間違いない。しかし、当然だが、資産価値の下がりにくい良い立地の不動産は、価格が高い。不動産の購入費が高いと、家賃が比較的高くても収益性は低くなる。
収益不動産の広告を見たことはあるだろうか。不動産の概要や不動産価格の他に「満室想定利回り」という文字がある。収益不動産を買うとき、収益性が高いのか低いのかを判断するための重要な指標だ。この「利回り」という言葉に馴染みのない人もいるだろう。利回りの数字をどのように読むのか説明しよう。
利回りの計算方法は、年間家賃収入を不動産購入費で割って算出する。アパートAは、不動産購入費が5000万円、満室想定年間家賃収入が500万円なので、満室想定利回りは10%となる。利回りが10%ということは、計算上は、不動産を購入した費用を10年間で回収することができるという意味だ。
一方、マンションBは、不動産購入費が1億2000万円で、満室想定年間家賃収入が600万円なので、満室想定利回りは5%となり、購入した費用を20年間かけて回収するという意味だ。