経済基盤が安定すると、人は心に余裕を持ち、豊かな人生を送れることを多くの大家を取材して強く感じたという。1万人の大家を取材してきた著者が、サラリーマンの定年後に毎月着実に家賃収入を得られる不動産で、資産を増やす方法を伝授する。本連載は賃貸不動産オーナー向け経営情報誌「家主と地主」の編集長の永井ゆかり氏の著書『1万人の大家さんの結論!生涯現役で稼ぐ「サラリーマン家主」入門』から一部を抜粋した原稿です。

「かぼちゃの馬車」事件やスルガ銀行不正の背景

同報告書の公表により、ご存じの通りテレビやインターネットでは「年金は何のために払っているのか」「これまで払わせておいて足りないとは何事だ」などという批判が集中。揚げ句には財務大臣が報告書を受け取らないと言い出し、大混乱状態となった。だが、冷静に考えれば騒いだところで、年金支給額が上がるわけではない。

 

さらに追い討ちをかけるように、2019年5月にわが国を代表するトップ企業のトヨタ自動車の豊田章男社長が「終身雇用を守っていくのは難しい局面に入ってきた」と発言。近年、終身雇用は崩壊しつつあったが、この豊田社長の発言にとどめを刺されたような印象を持った人も多いのではないか。いよいよ従来型の「働く」ことに対する常識を変えざるを得ない時代になってきた。

 

永井ゆかり著『1万人の大家さんの結論! 生涯現役で稼ぐ「サラリーマン家主」入門』(プレジデント社)
永井ゆかり著『1万人の大家さんの結論! 生涯現役で稼ぐ「サラリーマン家主」入門』(プレジデント社)

もう一つ深刻な状況がある。退職金についても、厚生労働省「就労条件総合調査」「賃金労働時間制度等総合調査」を見るとわかるように、驚くほど減少しているのだ。大学・大学院卒の場合、2017年の平均給付額は1997万円だったが、その額は10年前と比べて494万円、20年前と比べると1206万円も減っている。

 

以上のような数字を見れば、今の現役サラリーマン世代が「老後不安」を抱かない方が不思議だろう。長生きすれば、医療費もかさむし、介護費も必要になる。人生を最後まで謳歌するためには、高齢者になる前に先立つ資金や収入を得る方法を準備しておくことが重要なことは火を見るよりも明らかだ。

 

では、どのように老後の資金をつくり出していくのか。

 

「老後2000万円問題」が話題になってから、証券会社が忙しいそうだ。「個人型確定拠出年金(iDeCo)」や「少額投資非課税制度(NISA)」、投資信託商品などの問い合わせが増えているからだ。資産運用といえば、株や投資信託は王道だろう。だが、経済はもちろん、政治など環境に影響される部分が大きく、確実に資産を増やすのは簡単ではない。

 

そこで数年前から注目されているのが「不動産投資」だ。書店に行けば、今や「不動産投資」の 専用棚が用意されるほど多くの書籍が並んでいる。不動産投資で成功したという家主の体験談から不動産会社によるハウツー本、税務の解説や賃貸経営にまつわる法律の専門書籍など多岐にわたる。

 

だが、不動産投資と聞いて、怖いというイメージを持つ人は少なくないだろう。クリーンなイメージを持ちにくい不動産業界はトラブルも少なくないからだ。昨今でもシェアハウス「かぼちゃの馬車」の投資トラブルはテレビや新聞、週刊誌などに事件として大きく取り上げられた。不動産投資ができるほどの資産がない大半の人たちが、高値のシェアハウスをフルローンで購入したものの、運営会社が販売時に話していた家賃では入居者が集まらず、破綻。残ったのは多額の借金と収益性が低いシェアハウスだけ。

 

融資したスルガ銀行も同シェアハウスを含む収益不動産に不適切な融資を行ったことで、金融庁から行政処分を受けた。そのうち東京地方裁判所に調停を申し立てていたオーナー257名、343棟については、3月25日、担保物件の物納を条件に債務を免除するスキームにより決着がついたが、1000人ほどのオーナーの大半がローン返済の目処が立たずに今も苦しんでいる。

 

永井ゆかり
「家主と地主」編集長

 

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1万人の大家さんの結論! 生涯現役で稼ぐ「サラリーマン家主」入門

1万人の大家さんの結論! 生涯現役で稼ぐ「サラリーマン家主」入門

永井 ゆかり

プレジデント社

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