孫活に熱中する祖母
祖父母が孫の送迎や世話、行事への参加、金銭的な援助などを通じて、積極的に孫育てに関わることを指す、「孫活(まごかつ)」。共働き世帯が増えた今、孫活は“家族を支える大切な役割”として語られることも少なくありません。
千葉県に暮らす田中由紀子さん(67歳・仮名)は、長男夫婦と徒歩20分の距離で暮らしています。初孫が生まれたとき、由紀子さんの喜びはひとしおでした。子育てが終わったときに、自分の役割が終わってしまったような喪失感、いわゆる「空の巣症候群」にかかった由紀子さんにとって、「ばあば」になることは大きな夢だったのです。
長男夫婦は共働き。孫娘の保育園の送り迎えや日常世話を、由紀子さんは積極的に引き受けました。洋服やおもちゃ、おけいこの月謝、誕生日やクリスマスのプレゼント―― 「孫のためなら」と、深く考えずに財布を開く日々。気づけば、由紀子さんは長男家族の生活にすっかり組み込まれていました。
しかし、ある出来事が由紀子さんの気持ちを変化させました。
悲しそうな孫…「自分は親ではない」
孫娘が通う保育園の、お遊戯の発表会。親の参加が前提の行事です。それまで、こういった行事には由紀子さんとともに長男夫婦のどちらが参加していました。ですが、その日は由紀子さんだけが見に行くことになったのです。
出番を前にした孫娘に声をかけると、こう見上げてきました。
「パパとママは? ばあばだけなの?」
長男夫婦は事前に「今日は仕事で行けない、ばあばだけが行くからね」と伝えていたはずですが、それでも心のどこかで期待していたのかもしれません。
舞台に立ってお遊戯をする孫娘の表情は終始寂しげで、胸が締めつけらました。
そのとき、由紀子さんははっきりと気づきました。当たり前だが自分は親ではない。もし自分がいなければ、長男夫婦はどうにか時間を調整して見に来ただろう。彼らを甘えさせてしまったのは、自分。前に出過ぎたのだ、と――。
