「まばらに毛が生えただけ」の絶望。そして…

ところが、手術後の頭の実態はというと、実は正直、「まばらに毛が生えた」という程度。以前に比べて2割増し、といったところだったでしょうか。私の場合、当時の技術では、後頭部からとれる毛根の株数は1500株が限界でした。それでは薄い頭頂部に満足いくほど移植するには足りなかったのです。さらに、当時のFUSS法で移植した自毛のうち、きちんと根づいて生えるのは100本中、約40本。つまり生着率4割だといわれていました。となると、まばらに毛が生える程度に終わったのは仕方のないことだったのでしょう。

 

しかし、せっかく決心して手術にまで踏みきったのに、まばらな毛が生えただけで満足することはできません。「こんなもんなの? 嘘でしょ?」それが私の本音でした。「まだまだ薄い。もっと増やしたい。お金さえあれば、また植毛したい!」そう思いながらも、私はすぐには二度目の手術に踏み切れませんでした。あの激しい痛みや顔の腫れをもう一度経験したくなかったのです。「だから、これで何とか生きていこう。生きていける」と、自分に言い聞かせていました。しかし、4年後のある日、再び私に植毛を決意させる出来事が起こりました。

 

職場での勤務中、私の前の席に座っている女性が、またクスクスと笑っています。振り返ると、同僚が私の頭頂部をマジックで塗るしぐさをしていたのです。このときも一緒になって笑いながらも、私は思っていました。「これはもう一度、何とかしなければいけない!」と…。

 

次ページリベンジに選んだ「切らない手術」…その内容は?

この記事は、音田正光著『薄毛革命「自毛主義」のすすめ』より一部を抜粋・再編集したものです。

薄毛革命 「自毛主義」のすすめ

薄毛革命 「自毛主義」のすすめ

音田 正光

幻冬舎メディアコンサルティング

髪が抜けて少なくなる、頭頂部が薄くなる――これは男性にとって古今東西、永遠のテーマといえる苦しみであり、さらに昨今は女性にも薄毛の悩みを抱える人が増えています。 本書では、さまざまな治療法を試しては失望してきた…

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