新型コロナウイルスの感染拡大によって景気後退が叫ばれ、先行き不透明感が増すなか、日本経済はどうなるか、不動産はどう動くのかに注目が集まっている。本連載は、多くの現場に立ち会ってきた「不動産のプロ」である牧野知弘氏の著書『不動産で知る日本のこれから』(祥伝社新書)より一部を抜粋し、不動産を通して日本経済を知るヒントをお届けします。

家賃は生活をするためのコストに過ぎない

家は経年とともに劣化していく。早く売却しなければ価値はどんどん落ちていく、これが投資の鉄則だ。マンションなどに投資する投資家のスタンスは基本5年以内であるのはこのためだ。

 

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そして彼らは購入するために全額をローンなどでは調達しない。危ないからだ。運用期間中の不動産価格の変動に備えて、彼らの投資における負債(ローン)の割合は半分以下であることが基本だ。それに比べて、せいぜい10%程度の頭金しか用意しない住宅ローンの危うさがわかるはずだ。

 

さらにこれが自宅だと5年おきに住み替えなければならない。ご苦労なことだし、付き合わされる家族はまことに気の毒だ。いっぽう運用もしていない家を35年も持ち続けて売って利益を出そうというのは、壮絶な「博打」を行なっているのに等しい行為なのだ。

 

長期の住宅ローンを組んでまでも家を買いたい人は、その家が「絶対に欲しい」、そしてそのためのお金なら「どんな苦労をしてもかまわない」、と断言できる場合に限るべきだ。

 

賃貸住宅に住み、家賃を支払い続けることは、なにも「もったいない」という話ではない。家賃はあくまでも生活をするためのコストであるからだ。単身のときは、狭い部屋でもよいだろう。結婚して家族が増えれば少し大きな家に住めばよい、子供が卒業したら夫婦だけが暮らせる小さな家に借り換えればよいだけの話だ。子供なんかはすぐに大きくなるものだ。適当な時期で追い出せばよい。

 

こう考えれば、大博打である家の「購入」に拘らずに、生活するためのコストとして家賃を喜んで払うほうが、はるかにリスクの少ない生き方ができるというものだ。その割にきわめて多くの人が、いまだ家の購入という大博打を打っているようにしか私には見えない。

 

昔は家族向けの賃貸住宅がない、だから家を買わざるをえない、などとわかったようなことを言われた。でも安心してよい。3大都市圏に、高度成長期には地方からやってきた人々が購入した戸建てやマンションが大量に存在する。この人たちの多くが東京五輪後は後期高齢者になる。相続が生じる結果、大量の家族向け賃貸住宅がマーケットに供給される日も近い。

 

むりやり購入して一生分の稼ぎをせっせと「価値が落ちていく」家に払い込み続けることと、家なんて生活するためのコストと割りきって、住宅ローンで借りるはずだった金額を借りて別の投資用案件(不動産に限らずいろいろな投資用商品が世の中には溢れている)に投資をしたほうが、はるかに豊かな人生を送ることができるようになることに、やがて多くの人が気づく日がやってくるのである。

 

牧野 知弘

オラガ総研 代表取締役

 

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