空室を嫌がるオーナーのために生まれたシステムだが…
1.家賃保証とは?
家賃保証とは、その名の通り、家賃を保証してもらう不動産賃貸方法のことです。だれが家賃を保証するかというと、不動産会社になります。不動産会社は以下のような方法で賃貸をします。
①不動産会社がオーナーから不動産を借り上げる(マスターリース契約)
②不動産会社が賃借人を見つけて転貸する(サブリース契約)
③オーナーは不動産会社に空室保証の手数料を支払う
つまり、「空室時も不動産会社が家賃を支払ってくれる代わりに、オーナーは不動産会社に手数料を支払う」ということです。
たとえば、
①で不動産会社はオーナーに月々13万円の家賃を支払うとします。
②で賃借人に13万円で賃貸します。
③でオーナーから1.5万円の手数料をもらいます。
この月々1.5万円の手数料が不動産のメイン収入となり、そのほか更新料や礼金などの取り扱いによっては、それらも不動産会社の利益になり得ます。
また、一般的に①~③の一連のことを「サブリース」と総称されることもあります。しかし、厳密には上述のように、②の転貸することをサブリースといいます。
2.オーナーのメリット
そもそも、なぜこの家賃保証システムが生まれたかというと、「空室」になることをオーナーが嫌がるからです。不動産投資におけるメイン収入は「家賃収入」です。そのため、部屋が空室になると、ダイレクトに不動産収入が減少してしまうのです。
そのため、オーナーは部屋が空室になることを最も嫌がるので、空室保証システムが浸透していったのです。また、空室保証とは、厳密にいうと家賃を「保証」しているというよりは、不動産会社が賃借人であるということです。そのため、家賃の滞納リスクやトラブルリスクも極めて低いということになります。不動産会社が責任をもって転貸(サブリース)しているので、滞納などのトラブルがあったとしても不動産会社が解決してくれるのです。
「減額リスク」の説明が不足しているケースが散見
3.家賃保証のトラブル
家賃保証のトラブルについては、「将来的に家賃が減額になる」という点に付随することが多いです。先ほどいったように、家賃保証の賃貸方法にしているときは、不動産会社が家賃をオーナーに支払います。その家賃金額については、不動産会社が一定期間ごとに見直すという契約内容になっているのです。
しかし、その説明が不足しているというトラブルが多く、「家賃を減額されて収益が赤字になってしまった」というトラブルが増えているのです。不動産会社のセールストークとしては、「不動産投資は節税効果もあり不労所得にもなります」というトークをするのですが、家賃が減額になり赤字になれば、所有しているだけで支出が増えてしまうのです。
また、これは契約解除のトラブルにもつながります。不動産会社は「家賃の減額に応じない場合は家賃保証契約を解除する」という内容で契約していることが多いです。そのため「家賃減額に同意しなかったので強制的に契約解除となった」というトラブルもあるのです。
4.対策について
上述したトラブルの対策は以下2点です。
①将来的に家賃が減額するリスクを知っておく
②リスクを知った上での資金計画を立てる
まずは、家賃が減額になる可能性がある点を知っておきましょう。その上で、家賃が下落した想定での資金計画を立てる必要があります。つまり、家賃が下落したとしても「黒字」を維持できるような投資かを検証するということです。
家賃は不動産市況や競合環境によって変わります。つまり、家賃収入は将来的にどのようになるかは読めないのです。そのため、新築時から10%~20%家賃が下落しても黒字を維持できるような投資が望ましいです。
5.まとめ
このように、不動産投資のなかでも「家賃保証」という形態は、空室時も安心できるという大きなメリットがあります。ただし、一方で将来的な家賃下落リスクがあり、最悪の場合には強制的に契約は解除されます。その点も踏まえた上で、家賃保証契約は締結しましょう。