永住権のない人に「金融機関」が抱く懸念とは?
【永住権がないと厳しい】
結論から言うと、外国人の方が日本で住宅ローンを組むときは、永住権を持っていないと厳しいです。ただし、永住権は簡単に取得できるものではありません。
・住宅ローン審査と永住権
住宅ローン審査は永住権を取得していないと、金融機関が以下の点を懸念します。
① 母国へ帰ってしまったときに追跡しにくい
② 日本語でのやりとりが難しい
③ 安定的に継続して収入が得られるか分からない
そもそも永住権とは、何の制限もなく日本に永住できる権利のことです。通常は、ビザの更新をしなければ日本に滞在できませんし、就労制限などもあります。
① 母国へ帰ってしまったときに追跡しにくい
金融機関が最も恐れるのは住宅ローン返済の滞納です。仮に、一定期間住宅ローン返済を滞納すれば、抵当権を設定しているので不動産を売却できます。
しかし、住宅ローン借入者と連絡が取れなければ、裁判(競売)手続きなどが非常に煩雑になります。そのため、母国へ突然帰ってしまって長期間連絡が取れない状況などは、金融機関にとっては最も避けたい状況になるのです。
② 日本語でのやりとりが難しい
永住権を持っていない外国人は、日本語が話せないことも多いです。そのため、契約内容をきちんと把握しているかの確証を得ることもできませんし、通訳を介した契約は手間もかかります。この点からも金融機関は永住権を持っていない外国人は避けがちです。
③ 安定的に継続して収入が得られるか分からない
先ほどいったように、永住権を持っていないと、ビザの種類によって就労制限がかかっています。また、ビザの更新ができなければ就労できなくなるので、収入が途絶えてしまうのです。そうなると、住宅ローン返済が滞納されるリスクにつながるので、金融機関は避けたがるということです。
永住権が取得できない場合の「3つの対応法」
【永住権取得のハードル】
永住権を取得するためには、平たく言うと「日本に利益をもたらすかどうか?」が判断基準になります。たとえば、日本で教育や研究をするために在留したり、文化の発展に貢献したりする人などは永住権を取得しやすいです。
逆に、税金を滞納していたり、独立して生計を立てられなかったりする状況であれば、永住権を取得することが難しいでしょう。永住権はもろもろ条件がありますので、詳しくは法務省のホームページ(※)を確認ください。
いずれにしても、永住権を取得できる状況だとしても、申請から受理まで4か月以上かかるのが一般的です。そのため、将来的に住宅ローンを組んで家を購入しようと思っている方は、早めに永住権を申請しておくと良いでしょう。
※ 法務省 永住許可に関するガイドライン
http://www.moj.go.jp/nyuukokukanri/kouhou/nyukan_nyukan50.html
・永住権がない場合
つづいて、永住権がどうしても取得できない場合の対応方法を紹介します。永住権を取得できない場合で住宅ローンを借り入れるには、以下の3つの方法があります。
① 母国に本店がある金融機関を利用する
② 配偶者などに住宅ローンを組んでもらう
③ 頭金を多くする
・永住権を持っているかが重要
このように、外国人が住宅ローンを借り入れるときは、永住権を持っているかどうかが重要になってきます。永住権を持っておらず、今後日本で家の購入を考えているなら、今のうちから永住権申請をしてきましょう。仮に、永住権がなければ、まずは母国に本店がある金融機関で審査を受けることをおすすめします。
① 母国に本店がある金融機関を利用する
最も可能性が高い方法は、母国に本店がある金融機関を利用することです。日本人で言えば、中国でマンションを購入するときに、「○○銀行(日本の銀行)北京支店」などで借り入れるというイメージです。
母国に本店があれば、借入者が母国に帰っても追跡できます。また、母国での延滞履歴や信用情報なども調べることができるので、永住権がなくても借入れができる可能性があります。
ただし、そのような金融機関は不動産会社の提携銀行でない場合が多いです。その場合には、プライベートローンという扱いになり、万が一住宅ローン本審査に落ちたら、手付金没収の契約解除になるリスクがあります。
② 配偶者などに住宅ローンを組んでもらう
また、配偶者が日本人であれば、配偶者に住宅ローンを組んでもらうという方法もあります。ただ、これは配偶者に収入があり、単身でも住宅ローンを組むことが出来るという前提です。
③ 頭金を多くする
そもそも、永住権がないと審査の土台に乗らない金融機関が多いですが、中には頭金を多くすることで住宅ローン審査に通してくれる金融機関もあります。頭金が多ければ、それだけお金を貯めることができたという信頼性があります。
また、そこまで自己資金を投入していれば、突然家を捨てて母国に帰る可能性も低いだろうという認識にもなります。ただ、大手金融機関などは、永住権なしはNGの金融機関が多いので、永住権なしでもOKな金融機関を探すのは苦労すると思います。