損益通算できない?「NISA口座」の開設前に知りたい注意点

最近では「NISA」という言葉も一般的になってきました。NISAは投資をする人なら誰でも知っているくらいメジャーであり、メリットがあるのは事実です。しかし、NISAを利用した投資は、誰に対してもメリットがあるわけではないので、NISAの仕組みやメリット・デメリットはきちんと理解しておく必要があります。そこで本記事では、NISAの基本的な仕組みや、長期・短期の視点でのメリット、および注意点を解説していきます。NISA口座の開設時にはチェックしてみてください。

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【NISAの概要】

 

まずは、NISAの概要を解説します。NISAの仕組みや、非課税対象商品や期間など、根本的にNISAとは何か?という説明です。

 

・NISAとは?

 

NISAとは、株式や投資信託などをして利益が出た場合にも、その利益に対して税金がかからない制度です。通常、株や投資信託などで利益が出れば、一律20.315%の税金がかかりますが、それが非課税になる分、お得に投資できるというわけです。

 

NISAには以下3つの種類があります。

 

●一般NISA

●つみたてNISA

●ジュニアNISA

 

それぞれ対象となる人が異なったり、非課税の条件が違ったりします。ここでは、広く利用されている「一般NISA」について解説します。

 

・NISA口座における非課税対象と期間

 

NISA口座を利用して取引したときに、非課税になる対象商品と期間は以下の通りです。

 

●対象商品:上場株式、公募株式投信など

●非課税期間:5年間

 

NISA口座で上記の対象商品を投資した場合、年間120万円まで非課税になります。さらに、非課税枠は毎年120万円増えていくという仕組みです。

 

たとえば、2018年1月にNISA口座を開設し、対象となっているA社の株を1株500円で2,000株(100万円分)取得したとします。そして、2022年12月に、A社の株が1株600円に上がったところで2,000株(120万円分)売却しました。

 

この場合、通常であれば20万円の利益が出ていますので、その20万円に対して20.315%の税率がかかり40,630円の税金になります。しかし、NISA口座で取引すれば、この税金はかからないということです。

 

【NISA口座の作り方と開設までの期間】

 

次に、NISA口座の作り方と開設までの期間を解説します。先に言っておくと、NISA口座の開設は少々面倒で、かつ時間がかかります。そのため、NISA口座の開設を検討しているならば、早めに動いておくことをお勧めします。

 

・NISA口座開設の流れと審査にかかる期間の目安

 

最初に、NISA口座開設の流れと、審査期間の目安について解説します。NISA口座開設の流れは、開設する側と金融機関側という2つの観点からお伝えします。

 

●開設者が行う手続き

 

NISA口座を開設するときには、以下のような流れになります。

 

① 普通預金口座の開設

② 投資信託口座の開設

③ NISA口座の申し込み

 

つまり、証券会社の普通預金口座と投資信託口座を開設した後に、改めてNISA口座開設の申し込みが必要というわけです。

 

●金融機関が行う手続き

 

前項は、あくまで開設したい人が行う手続きであり、開設者が申し込んだ後に金融機関は以下の手続きをしています。

 

① 税務署への確認書交付申請

② 税務署からの確認書交付

③ NISA口座の開設手続き

④ NISA口座取引スタート

 

このように、NISA口座は税務署を介さないと口座開設できないので、どうしても時間がかかってしまいます。そのため、NISA口座の開設は1か月程度の期間がかかり、税務署や証券会社が多忙な時期などは2か月以上かかることもあります。

 

「今すぐに投資をはじめたい!」方は、残念ながらNISA口座では実現しないでしょう。なるべく早めに口座開設の申し込みをしておくことが重要です。

 

・NISA口座の開設に必要なもの

 

NISA口座を開設するときは、本人確認書類と住民票が必要です。本人確認書類は、運転免許証や健康保険証でなどです。外国人の方は、在留カードや永住権証明書が必要になります。この本人確認書類は手元にあると思いますが、そのほかにも住民票が必要になってきます。

 

住民票は、「基準日」があり、通常の金融機関は発行から6か月以内の住民票が必要です。ちなみに、住民票が必要な理由は、NISA口座は1人1口座までしかつくれないからです。

 

この確認書を申請するために住民票の写しを提出し、税務署はNISA口座の申請を1つしかしていないことを確認します。この作業によって、1人が複数のNISA口座を開設することを防いでいるというわけです。

NISA口座の損失は、他の口座と「損益通算」できない

【NISAの長期的・短期的メリットと運用時の注意点】

 

次に、NISAを長期的・短期的スパンから見たメリットと、運用時の注意点を解説します。特に、注意点は自分自身のデメリットにつながる点なので注意しましょう。

 

・メリット

 

NISA口座を利用して投資を行うメリットは、何といっても投資で得た売却益や配当益が非課税になる点です。

 

●長期的スパン

 

長期的スパンで株式投資を行っているとします。その場合、毎年120万円ずつ非課税枠が増えていくので、どんどん買い増すことができるのです。たとえば、2018年にA社の株を120万円分取得したとします。その後、毎年120万円ずつ買い増せば、5年間の合計で600万円分投資ができます。

 

5年の期間内にその600万円分を売却すれば、その投資に関する収益は非課税になるので、長期的スパンから見てもメリットは大きいです。もちろん、A社の株でなく別の会社の株を買ったときも同じ話です。

 

●短期的スパン

 

また、短期的スパンで見てもメリットはあります。1年のうちに120万円分の非課税枠があるので、1月にA社株を30万円分買って、4月にB社株を20万円買って・・・と分散して株を取得することも可能です。ただ、株を売却したときに非課税枠が回復するわけではありません。

 

しかし、120万円の範囲内であれば、株の組み合わせは自由ですし、売却タイミングも自由です。さらに、翌年には120万円分の非課税枠が追加されるので、短期売買を再開できます。

 

・運用時の注意点

 

しかし、NISAには以下の注意点があります。

 

●非課税枠が決まっている

●損益通算ができない

●損益繰り越しができない

 

まず、非課税枠が毎年120万円なので、大きな収益を期待するのは難しいでしょう。また、税金に対しての優遇措置もなくなります。

 

たとえば、A証券会社で投資をして100万円の利益が出たとします。一方、B証券会社で投資をして100万円の損失が出たとします。通常であれば、この100万円は相殺されるため、この人が投資で得た収益はゼロ円という扱いで非課税になります。

 

しかし、NISA口座は相殺できません。仮に、損失を被ったB証券会社がNISA口座であれば、A証券会社の100万円の利益はそのままです。つまり、本来は投資で利益を得ていないのに、100万円に対して税金(203,150円)がかかるということです。

 

また、仮に投資で100万円損失が出れば、今後3年間は繰り越せます。つまり、翌年100万円の利益が出ても、繰り越した100万円と相殺することで利益をゼロ円の扱いにできるのです。このような節税はNISA口座ではできないので、その点はデメリットと言えるでしょう。

 

【NISA口座は仕組みを理解しよう】

 

このように、NISA口座にはメリットもありますが、一方でデメリットもあります。特に、NISA口座は年間120万円しか投資できないので、たとえば不動産投資などと比べると利益は小さくなりがちです。その点を加味した上で、NISA口座を開設するかは判断すると良いでしょう。

 

都内の私立大学を卒業後、新卒採用で不動産ディベロッパー勤務。
不動産の用地仕入れや、分譲マンションの販売・仲介などを手掛ける。
2016年に独立して以降、不動産関係のライティングも業務の1つに。

著者紹介

連載マンション販売・仲介のプロが教える!不動産投資の基礎知識

本連載は、株式会社フェイスネットワークが運営するウェブサイト「toshi.life」の記事を転載・再編集したものです(https://toshi.life/article/sisanunyou/14668)。

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