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相続税法では「時価」が原則、実際の評価は財産評価基本通達で
中小企業のオーナー経営者が亡くなった際の相続税における非上場株式の評価額をめぐり、今国会では大きな議論が起きています。株式の評価額が高くなり、相続税の負担が重いために、事業を継ぎたくても継げない子どもが続出しているからです。
日本では、相続税を計算する際、不動産や非上場会社株式などの財産は、相続税法第22条に基づき「時価」で評価することになっています。しかし、実際の評価では、法律そのものではない「財産評価基本通達」によって、時価を算定しています。
土地や家屋などの不動産については、路線価や固定資産税評価額、借地権割合、借家権割合などを用いて評価します。米国のように専門家による不動産鑑定評価(アプレイザル)を取得しなくても評価できるため、簡便な仕組みといえます。
非上場会社の株式についても、会社の利益、配当、純資産、そして類似業種比準価額などを用いて評価します。しかし、こうした評価方法では、現代の経済環境に対応しきれない問題が生じているのです。
非上場株式の評価方法に浮かび上がる課題
たとえば、類似業種比準方式では、評価対象となる中小企業と類似する事業を営む上場会社の株価などを参考にします。しかし、事業内容が似ていても、企業規模や収益構造、将来性などが大きく異なる場合があります。完全に同じ事業を営む上場会社を見つけることは難しく、こうした違いを評価にどこまで反映できるのかという問題もあります。
このほかにも、現行の評価方法をめぐってさまざまな課題が指摘されてきました。そこで、国税庁や経済産業省などが非上場会社株式の新たな評価方法について試案を示しましたが、議論は紛糾しました。
その後、一定の方向性が見え始めたものの、財務省が十分に関与していなかったこともあり、先日、片山さつき財務大臣が「私は聞いていない。白紙だ」と述べたとされています。これにより、議論は再び振り出しに戻ることになりました。
そもそも「時価」とは、一般に、自由な取引が行われる市場において成立すると考えられる価額を意味します。それにもかかわらず、国が独自の評価方法によって時価を算定する仕組みには、根本的な難しさがあるのではないでしょうか。
