(※写真はイメージです/PIXTA)

子どもが独立して家庭を持ったあとも、親子で定期的に顔を合わせることを楽しみにしている高齢者は少なくありません。孫の成長を身近に感じられる時間は、日々の生活の張り合いにもなるでしょう。一方、訪問が習慣になると、迎える側が予定を調整したり、食事の準備をしたりする負担が生じることもあります。親しい間柄だからこそ、訪問の頻度や過ごし方について話し合う機会が必要になる場合もあります。 ※本記事に掲載している事例は、プライバシー保護および情報の一般化のため、実際の相談事例をベースに一部の数値や設定を変更・再構成したモデルケースです。

「孫に会えるのが楽しみで」毎週日曜日に息子宅を訪問

72歳の昭夫さん(仮名)は、3年前に妻を亡くし、現在は一人暮らしをしています。年金収入は月約19万円。住宅ローンを完済した自宅で、生活に大きな不自由はありません。

 

一人息子の大輔さん(43歳・仮名)は、妻と小学2年生の娘との3人暮らし。昭夫さんの自宅から車で20分ほどの場所に住んでいます。

 

妻が亡くなってから、昭夫さんにとって楽しみになったのが、日曜日に息子宅を訪れることでした。

 

「最初は息子たちが『一人でご飯を食べるのも寂しいだろうから』と誘ってくれたんです。孫にも会えるし、ありがたかったですね」

 

当初は月に1、2回ほどでしたが、次第に毎週訪れるようになりました。

 

昭夫さんは昼過ぎに到着し、孫と遊んだり、テレビを見たりして過ごします。夕食を一緒に食べてから帰宅するのが、いつもの流れでした。

 

「手ぶらで行くのも悪いので、孫のお菓子や果物を買っていきました。夕飯をごちそうになることも多かったので、気を使っていたつもりです」

 

ただ、息子夫婦に訪問の都合を確認することは、次第に少なくなっていました。日曜日になると「今日もいつもの時間に行くよ」とLINEを送るのが習慣になり、返事を待たずに出発することもあったそうです。

 

ある日、昭夫さんがいつものように息子宅を訪れると、孫は友達と遊ぶ約束があると言って出かけてしまいました。大輔さんも仕事の用事で外出することになり、家に残ったのは昭夫さんと息子の妻だけ。

 

昭夫さんは「気にしなくていいよ」と伝え、リビングでテレビを見ていました。

 

しばらくして、息子の妻がお茶を運んできました。昭夫さんの向かいに腰を下ろすと、少し言いにくそうに口を開きます。

 

「お義父さん、少し頻度を減らしていただけませんか」

 

昭夫さんは、何を言われたのかすぐには理解できなかったといいます。

 

「何か迷惑をかけたかな。孫にもお土産を持ってきているし、長居しないようにしているつもりだけど……」

 

息子の妻は、昭夫さんを責めるつもりはないと前置きしたうえで、毎週の訪問に合わせて予定を空け、夕食を準備することが負担になっていたと説明しました。

 

「日曜日は、私たちも休みたい日なんです。娘の予定も増えてきたので、毎週となると難しくて……」

 

昭夫さんは、その日初めて、自分の訪問が息子一家の休日を制限していたことに気づいたのです。

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