米国では会社の収益力や将来性などを総合的に評価
では、米国ではどのように評価しているのでしょうか。
米国では、非上場会社のオーナーが亡くなった場合、その保有株式は、死亡時点における公正市場価値(Fair Market Value)を基準に評価します。日本の財産評価基本通達のように、画一的な評価方法だけで一律に決める仕組みではありません。
IRS(米国内国歳入庁)のRevenue Ruling 59-60では、非上場株式の評価にあたり、会社の収益力、純資産、将来性、支配権の有無など、さまざまな要素を総合的に考慮することが示されています。このRevenue Ruling 59-60は、IRSが1959年に発行した、非上場企業(同族会社など)の株式や事業の価値を評価するための基本的な枠組みを示したガイドラインです。
具体的には、評価対象となる株式を死亡時点で売却した場合、いくらで取引されると考えられるかを推定します。そのために、収益還元法やDCF法、純資産価額方式など、複数の評価手法を用いることがあります。さらに、将来の収益見込みや事業上のリスクなども考慮します。
つまり、米国では、会社の帳簿上の価額だけで株式の評価を決めるのではなく、会社の収益力や資産、将来性などを踏まえ、市場でどの程度の価値が認められるかを検討するのです。
支配権の有無や売却の難しさも評価に影響
また、株式の評価では、会社の価値だけでなく、亡くなったオーナーが保有していた株式の権利や性質も重要です。たとえば、会社の経営を支配できる株式なのか、それとも経営に影響を与えにくい株式なのかによって、評価が変わる場合があります。
さらに、非上場株式は市場で自由に売買できるとは限りません。買い手を見つけにくく、すぐに現金化できないという事情もあります。米国では、こうした市場性の乏しさや、支配権の欠如などが、評価上の減額要因として検討されることがあります。
たとえば、経営に関与できない少数株主の株式や、売却先が限られる株式については、こうした制約が市場価値にどう影響するかを検討します。ただし、すべての非上場株式に一律の減額が認められるわけではなく、具体的な事情に応じて判断されます。
要するに、米国では、①会社そのものの価値を市場価値の観点から算定すること、②オーナー経営者が保有していた株式にどのような権利や制約があるかを考慮すること――が重要になります。
