ニューヨーク市で住宅の固定資産税額が急増…減税終了後に待つ負担と、日本の住宅税制との違い【国際課税の専門家が解説】

ニューヨーク市で住宅の固定資産税額が急増…減税終了後に待つ負担と、日本の住宅税制との違い【国際課税の専門家が解説】
(※写真はイメージです/PIXTA)

日本では、住宅用地の固定資産税を軽減する特例や、新築住宅の減額措置などにより、住宅所有者の税負担が抑えられています。米国ニューヨーク市では、新築住宅などを対象とする固定資産税の減免措置が終了し、税負担が大幅に増える問題が浮上しています。数年で税額が数十倍になった例もあるといいます。住宅取得を促すための減税は、期間終了後に何をもたらすのでしょうか。日本と米国の制度を比較しながら、『トランプ劇場と超富裕層課税 増税か、減税か――税制が映し出すアメリカの真実』の著書がある奥村眞吾税理士が解説します。

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日本の住宅は固定資産税の軽減措置で守られている

日本の固定資産税は地方税法に基づいて課税される市町村税であり、基本的な仕組みは全国共通です。特に地方の市町村にとっては、安定した税収を確保できる重要な財源となっています。

 

固定資産税の標準税率は1.4%であり、原則として固定資産税評価額に税率を掛けて税額を算出します。さらに、都市計画税が課される地域では、原則として税率0.3%を上限として、土地や建物の所有者に追加の負担が生じます。

 

ただし、住宅については、商業用不動産とは異なる軽減措置が設けられています。

 

固定資産税の特例で代表的なのが、住宅用地に対する課税標準の特例です。住宅1戸当たり200平方メートル以下の小規模住宅用地については、固定資産税の課税標準が価格の6分の1に軽減されます。200平方メートルを超える部分についても、一般住宅用地として課税標準が価格の3分の1となる特例があります。

 

マンションの場合、敷地全体の面積を各住戸の持分に応じて按分するため、1戸当たりの土地の持分が200平方メートル以下に収まるケースは多くあります。そのため、土地部分の固定資産税は、特例の適用によって抑えられています。

 

住宅メーカーなどが、空き地の所有者に対して「アパートを建てれば固定資産税を軽減できます」と営業するのも、こうした仕組みがあるためです。もちろん、建築費や維持管理費、空室リスクなどを考慮する必要はありますが、住宅用地の特例によって土地の税負担が軽くなるという説明自体は間違いではありません。

 

建物についても、新築住宅には一定期間、固定資産税を減額する制度があります。一般的な新築の戸建て住宅では原則3年間、新築の一定の中高層耐火住宅では原則5年間、建物部分の固定資産税が2分の1に減額されます。マンションなどの新築住宅では、この措置が適用される期間が比較的長い場合があります。

 

このように、日本の住宅税制には、土地と建物の双方について、住宅所有者の負担を軽減する仕組みが組み込まれています。

ニューヨーク市の固定資産税減税「421-a」とは

一方、米国でも固定資産税は地方政府の重要な財源です。ただし、税率や評価方法、減免制度などは州や自治体によって異なり、日本のように全国共通の基本的な課税制度があるわけではありません。

 

その違いを象徴する事例が、ニューヨーク市です。

 

ニューヨーク市では、住宅供給を促進するため、新築住宅などを対象とした固定資産税の減免制度が設けられてきました。その代表例が「421-a」と呼ばれる制度です。

 

421-aは、一定の条件を満たす新築住宅などについて、固定資産税の負担を一定期間軽減する制度です。適用条件には、対象地域や住宅の規模、アフォーダブル住宅(所得に応じた負担で入居できる住宅)の確保などが関係します。

 

制度の適用を受けた住宅では、一定期間、固定資産税が大幅に軽減されます。適用される制度の区分や条件によっては、当初の一定期間に税負担がほぼなくなり、その後、段階的に負担が増える仕組みもあります。

 

こうした減税措置は、開発事業者にとっては住宅建設を進める誘因となり、購入者や入居者にとっても、当初の住宅保有コストや居住コストを抑える効果が期待できます。

 

しかし、減税措置には期限があります。適用期間が終了すれば、原則として通常の固定資産税負担に戻ります。減税期間中の負担が極めて小さかった場合、終了後の税額は、それまでの水準と比べて大幅に増えることになります。

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