トランプ政権の不法移民対策が税務にも波及?米国の確定申告書に「市民権・就労資格」の質問が追加へ…納税者情報は移民取り締まりに利用されるのか?【国際税理士が解説】

トランプ政権の不法移民対策が税務にも波及?米国の確定申告書に「市民権・就労資格」の質問が追加へ…納税者情報は移民取り締まりに利用されるのか?【国際税理士が解説】
(※写真はイメージです/PIXTA)

米国の2026年度個人所得税の確定申告書のドラフトに、納税者の市民権や米国内での就労資格を確認する質問が新たに盛り込まれました。IRS(米国内国歳入庁)は、税額控除を利用した不正還付を防ぐことが目的と説明しています。一方、米国では在留資格にかかわらず、米国内で得た所得には申告・納税義務があり、ITINを利用して納税する人も少なくありません。なぜ今回、このような質問が加わったのでしょうか。米国の確定申告書をめぐる変化から、税務情報と移民政策の境界を考えます。

 ゴールドオンライン新書最新刊、Amazonにて好評発売中! 

食料品消費税1% 減税×給付付き税額控除の真実
矢内一好(著)+ゴールドオンライン(編集)

父が溶かした退職金【上巻】・【下巻】
小林篤典(著)+ゴールドオンライン(編集)

シリーズ既刊本も好評発売中 → 紹介ページはコチラ!

米国の確定申告書に「市民権・就労資格」の質問

米国人からよく聞くのが、「日本の確定申告書は単純だ」という話です。日本の所得税の確定申告書は、主要な部分だけを見れば数枚程度ですみます。一方、米国の確定申告書は、関連する書類まで含めると20枚程度になることも珍しくありません。

 

このほど、まだ正式なものではありませんが、IRS(米国内国歳入庁)から2026年度の個人所得税確定申告書のドラフトが示されました。

 

今回の改正案で注目される新規事項の一つが、納税者に対して「あなたは米国市民権保持者ですか、それとも米国で合法的に働くことができる許可を得ていますか」といった趣旨の質問を設けることです。

 

日本にはない夫婦合算申告の場合には、申告者本人だけではなく、配偶者についても米国での在留資格などを回答する必要があります。

税額控除による不正還付を防ぐ狙い

今回、このような質問を追加する理由について、IRSは税額控除を利用した不正な還付を防ぐことが目的だと説明しています。

 

米国には、Earned Income Credit(勤労所得税額控除)、Child Tax Credit(児童税額控除)、American Opportunity Tax Credit(米国オポチュニティ税額控除)、Adoption Credit(養子縁組税額控除)など、一定の要件を満たした場合に税額控除を受けられ、場合によっては還付を受けることができる制度があります。

 

IRSとしては、こうした税額控除や還付の対象となる人のなかに、米国での滞在や就労が法的に認められていない人が含まれることを問題視しているようです。そこで、申告書の段階で市民権や就労資格を確認し、不正な還付を防ごうというわけです。

 

もっとも、これに対しては反論もあります。IRSはSocial Security Administration(社会保障庁)とも連携しており、そもそも税額控除や各種給付の対象となる可能性について、事前に確認できる仕組みがあるはずです。それならば、確定申告書に新たな質問を設ける必要はないのではないか、というわけです。

次ページ米国では「不法滞在者」でも所得の申告義務がある

人気記事ランキング

  • デイリー
  • 週間
  • 月間

メルマガ会員登録者の
ご案内

メルマガ会員限定記事をお読みいただける他、新着記事の一覧をメールで配信。カメハメハ倶楽部主催の各種セミナー案内等、知的武装をし、行動するための情報を厳選してお届けします。

メルマガ登録
会員向けセミナーの一覧