「日曜日はみんなでお昼ご飯」毎週の訪問を待っていた夫婦
「もう毎週は行けないと思う。これからは、予定が合うときにするね」
娘からそう告げられたのは、74歳の昭夫さんと72歳の洋子さん(ともに仮名)です。夫婦は年金を合わせて月約18万円受け取り、住宅ローンを完済した一戸建てで暮らしています。
車で20分ほどの場所には、45歳の娘・恵理さん(仮名)が夫と小学4年生の息子、小学1年生の娘と暮らしていました。
夫婦にとって何よりの楽しみは、日曜日に娘一家が遊びに来ることでした。
「最初は月に1回くらいだったんですけど、娘が仕事に復帰してから、日曜日にみんなでお昼を食べるようになったんです」
洋子さんは毎週、孫たちの好きな料理を用意していました。昭夫さんも、孫が来る前には庭を掃除し、一緒に遊ぶ準備をするのが習慣になっていたといいます。
冷蔵庫には、孫たちが好きなプリンやゼリーを欠かさず入れていました。
「上の子はプリン、下の子はぶどうゼリーが好きなんです。いつ来ても食べられるようにしていました」
娘一家が訪れるのは昼前から夕方まで。みんなで食事をした後は、孫たちが庭で遊び、恵理さん夫婦はお茶を飲みながらくつろいでいました。
ところが上の孫が小学4年生になった頃から、少しずつ予定が合わなくなります。
「今週は友達と遊ぶ約束があるみたい」
「来週はサッカーの試合があるから」
恵理さんから連絡が来るたび、洋子さんは残念に思いながらも、次の週を楽しみにしていました。
そんなある日、娘から電話がかかってきました。
「お母さん、これからは毎週そっちに行くの、やめようと思うんだ」
「どうして? 何かあったの?」
「子どもたちも大きくなってきたし、日曜日にやりたいことが増えてきたから」
洋子さんは思わず尋ねました。
「それなら、お昼ご飯だけ食べに来るのでもいいのよ。長居しなくてもいいんだから」
「そういうことじゃないの。週末の予定を、もう少し自由に決めたいんだよ」
電話を切った後、洋子さんは昭夫さんに事情を伝えました。
「毎週来るのを楽しみにしていたのは、私たちのほうだったのかもしれないわね」
昭夫さんはしばらく黙っていましたが、「子どもが大きくなれば、そうなるよな」と小さく答えました。
