この10年ほどで、日本の不動産価格は大きく上昇しました。特にマンション価格は全国的に上昇し、都市部では高騰が続いています。その背景には、長期にわたる低金利政策や金融機関の融資拡大、相続税対策としての不動産購入、さらには国内外の投資家による転売目的の取引など、複数の要因があると考えられます。一方、日銀のマイナス金利政策解除後は金利環境が変化し、不動産市場にも影響が及び始めています。不動産価格上昇の背景を振り返るとともに、今後の市場を考えるうえで押さえておきたいポイントを解説します。
全国の不動産価格指数で見る上昇
実際に国内不動産価格がどのように推移しているかを、国土交通省の不動産価格指数から確認すると、図表5-1のとおりです。
2010年を100として、物件種別ごとに推移を示しています。特にマンション価格が上昇しており、足元の全国平均では約220と、2倍を超える水準となっています。
首都圏や近畿圏、中部圏などの主要都市における事象ではないかと思われますが、多くの地域で同様の値動きをしています。
マンションが供給されるのは主にそれぞれの地域の主要都市(札幌、仙台、広島、福岡など)です。その他多くの地域では戸建てが中心であることを前提とすると、さほど大きな変動はないとも考えられます。
マンション価格はここ10年程度で飛躍的に上昇をしたことからキャピタルゲイン(転売益)を目的とした不動産購入(実質的には投資)が行われています。
国土交通省の不動産登記情報を活用した新築マンションの取引調査(図表6)によれば東京都においては8.5%が短期売買であることが確認できます。本件は新築マンションに限定した調査ですが、実際には中古不動産の転売も多数あるため、すべてのマンションを確認すればその割合も変わるものと思われますが転売目的の不動産投資が多いことも事実です。
ティー・コンサル株式会社
代表取締役
不動産鑑定士
1級ファイナンシャルプランニング技能士
1978年東京都出身。中央大学経済学部卒。
大学卒業後、不動産鑑定業者にて鑑定業務、不動産ファンドビジネスに従事。その後、金融の視点から不動産の価格形成を理解するため銀行(三井住友銀行)へ転職。融資業務、与信管理業務、アセットマネジメント業務(出向先にて)に従事したのち、個人富裕層向けコンサルティング業務に従事。アパートローン融資、資金運用、税金対策、遺言作成など承継対策業務を幅広く経験。その後、横浜銀行に転じ本部所属のうえ担当地区内のコンサルティング能力向上、富裕層取引の拡大などで貢献し頭取表彰も受賞。2022年にティー・コンサル株式会社を創業。金融に精通した不動産専門家として、多くの資産家(地主・経営者)や専門家(弁護士・税理士)からの相談を受けオーダーメイド型の問題解決を行っている。また、不動産鑑定士として銀行、税理士、上場企業などから依頼を受け不動産評価にも取り組んでいる。
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連載「金利上昇時代の不動産投資」――これから知っておくべき新常識