「昔はもっと元気だったのに」45歳長男が感じた両親の変化
「次からはホテルを取ろうと思います」
そう話すのは、会社員の健一さん(45歳・仮名)です。
健一さんは妻と、中学2年生、小学5年生、小学2年生の3人の子どもと暮らしています。
実家は車で約3時間の距離にある地方都市。父の隆夫さん(77歳)と母の和子さん(74歳)が、築40年ほどの一戸建てで暮らしています。
以前は年に2回ほど帰省していましたが、子どもたちの部活動や習い事の予定が重なり、今回は約1年ぶりの帰省となりました。
「母からは何度も『いつ帰ってくるの?』と聞かれていました。孫たちに会うのを楽しみにしていたんだと思います」
今回も2泊3日の予定を伝えると、和子さんは電話口でうれしそうに答えました。
「何もしなくていいから、みんなでおいで」
帰省当日、実家の食卓には唐揚げや煮物、子どもたちの好きな料理が並んでいました。
「おばあちゃんの唐揚げ、久しぶり!」
孫たちが喜ぶ姿を見て、和子さんも笑顔を浮かべます。
しかし、健一さんは母の様子が少し気になりました。食事の途中で何度も椅子に座り直し、台所へ立つたびに腰を押さえていたのです。
「腰、大丈夫?」
「大丈夫よ。ちょっと疲れただけ」
以前の母なら、食事の準備をしながら孫たちと話し、片づけまで手際よく済ませていました。ところが今回は、夕食後に食器を運ぶだけでも時間がかかっています。
健一さんが手伝おうとすると、和子さんは「せっかく帰ってきたんだから、座っていて」と断りました。
その晩、もう一つ気になったことがありました。父の隆夫さんが、午後9時ごろに寝室へ向かったのです。
「最近、夜は早く眠くなるんだよ。みんなはゆっくりしていてくれ」
以前は孫たちと遅くまでテレビを見ていた父でしたが、今回は夕食後も口数が少なく、居間でうとうとする場面がありました。
翌朝健一さんが起きると、母はすでに朝食の支度を始めていました。台所には7人分の食器が並び、洗濯機も回っています。
「お母さん、そんなに早くから準備しなくてもいいのに」
「みんなが起きる前にやっておかないと、間に合わないから」
その言葉を聞いて、健一さんは初めて、家族5人が泊まることの負担を意識したといいます。
