(※写真はイメージです/PIXTA)

親から財産を相続したとき、これまで我慢してきたことにお金を使いたいと考える人もいるでしょう。とりわけ老後は、元気なうちに旅行や趣味を楽しみたいという思いが強くなるものです。しかしまとまったお金が口座に入ると、普段の生活費との境目が曖昧になり、予定していなかった支出まで増えることがあります。 ※本記事に掲載している事例は、プライバシー保護および情報の一般化のため、実際の相談事例をベースに一部の数値や設定を変更・再構成したモデルケースです。

「元気なうちに楽しもう」相続した1,000万円で贅沢な暮らし

68歳の美代子さん(仮名)は、地方都市の持ち家で一人暮らしをしています。現在の年金収入は月約14万円。生活費を抑えながら、堅実に暮らしてきました。

 

そんな美代子さんが生活を変えたのは、母親が亡くなったことがきっかけでした。

 

兄弟で遺産を分け、美代子さんが相続したのは現金約1,000万円。もともとの貯蓄も約800万円あったため、手元の金融資産は合計1,800万円になりました。

 

「母はずっと倹約家でした。旅行にもほとんど行かず、最後は施設で過ごしていたんです」

 

母親の姿を思い出すうちに、美代子さんはあることを考えるようになったといいます。

 

「私もいつまで元気でいられるか分からない。お金を残しても仕方ないし、今のうちに楽しもうって」

 

最初に計画したのは、友人との北海道旅行でした。飛行機やホテル、食事代を合わせて約20万円。これまでなら予算を理由に諦めていた旅でしたが、今回は迷わず申し込みました。

 

「せっかくだから、少しいいホテルに泊まろうよ」

 

旅行を終えると、今度は京都へ。翌年には九州にも足を運び、温泉旅館での滞在を楽しみました。

 

普段の生活にも変化が表れます。

 

友人と会う日は、少し高級なレストランでランチ。百貨店では、以前から欲しかったバッグやコートを購入しました。

 

「高いものを毎月買っていたわけではありません。でも、欲しいと思ったときに、前ほど値段を気にしなくなりました」

 

相続から1年目に使ったお金は、旅行や買い物などで約180万円。2年目も約150万円を使っていました。

 

年金だけでは足りない生活費も、貯蓄から補うようになります。娘から「そんなに使って大丈夫?」と聞かれたこともありましたが、美代子さんは「まだ十分あるから」と笑って答えていました。

 

しかし相続から3年ほどたったころ、思いがけない出費が重なります。

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