なぜIRSは教会を簡単に税務調査できないのか
ここからが、日本とアメリカの大きな違いです。
アメリカでは、IRSが教会に対して税務上の調査を行う場合、内国歳入法(IRC)7611条という特別なルールが適用されます。
IRSが「何となく怪しい」「一度調べてみよう」という理由だけで、通常の事業者と同じように教会を調査できるわけではありません。
教会が免税資格を満たしていない可能性がある、あるいは課税対象となる事業を行っている可能性があるなど、調査を行う合理的な理由が必要となります。
さらに、その判断を文書化したうえで、教会側への事前通知など、一定の手続きを踏む必要があります。
なぜここまで特別な扱いがされているのでしょうか。
背景には、アメリカ憲法が保障する信教の自由があります。政府が宗教団体に容易に介入できるようになれば、宗教活動そのものへの干渉につながりかねません。
そのため、IRSによる教会への税務調査には、一般の納税者とは異なる制限が設けられています。
日本とアメリカ、宗教法人の「非課税」の仕組みは違う
日本とアメリカでは、そもそも宗教団体が税制上の優遇を受ける仕組みも異なります。
日本では、宗教法人法に基づいて宗教法人という法人格を取得し、そのうえで法人税法などによる税制上の取り扱いを受けます。
一方、アメリカではIRC501(c)(3)という税法上の規定によって、一定の要件を満たす宗教団体などが免税団体として扱われます。
特に教会には、免税認定や年次情報申告、税務調査などについて、一般の非営利団体とは異なる特例が設けられています。
