高野山の宿坊で「1億円超の申告漏れ」…宗教法人は本当に"非課税"なのか? アメリカの教会との意外な違い【国際税理士が解説】

高野山の宿坊で「1億円超の申告漏れ」…宗教法人は本当に"非課税"なのか? アメリカの教会との意外な違い【国際税理士が解説】
(※写真はイメージです/PIXTA)

世界遺産・高野山の宿坊を営む複数の宗教法人で、総額1億円を超える申告漏れが発覚しました。大阪国税局の税務調査で、住職やその家族による私的な支出を寺の経費として処理していたケースなどが確認され、追徴税額は総額約6,000万円に上ったとされています。宗教法人には税制上の優遇がありますが、「宗教法人は税金を払わない」というのは正確ではありません。外国人観光客が急増し、1泊20万円を超える宿坊も登場するなか、宗教法人のお金はどこまで非課税なのでしょうか。アメリカの教会に対する税制や、IRSによる税務調査の仕組みと比較してみます。

1泊20万円超も…「宿坊」は高級旅館並み?

現在の高野山には、「高級宿坊」をうたう施設もあります。

 

なかには1泊1人20万円を超える料金を設定する宿坊もあり、一般的な旅館やホテルと比較しても決して安い価格ではありません。

 

もちろん、宿坊は一般のホテルとは異なり、寺院という特殊な環境そのものに価値があります。精進料理や座禅、写経など、通常の観光では体験できないサービスもあります。

 

しかし、宿泊客から相応の料金を受け取り、多額の収入が生じているのであれば、その経理についても厳格な管理が求められます。

 

目の前に大きなお金があれば、宗教者であっても人間です。寺院のお金と個人のお金を混同しない仕組みが必要になります。

アメリカでは宗教団体も「501(c)(3)」の対象に

では、アメリカでは宗教団体をどのように扱っているのでしょうか。

 

アメリカでは、宗教団体を含む一定の非営利団体について、内国歳入法(IRC)501(c)(3)に基づく免税制度があります。

 

教会についてはさらに特別な扱いがあり、一定の要件を満たしている場合、IRSに個別の免税認定を申請しなくても、税法上の免税団体として扱われます。

 

また、一般の501(c)(3)団体に提出が求められるForm 990についても、教会は原則として提出義務が免除されています。

 

日本の宗教法人制度とは仕組みが異なりますが、アメリカでも宗教団体に対して税制上の特別な配慮が設けられていることは共通しています。

「教会なら何をしても非課税」ではない

もちろん、アメリカでも教会だから何をしても非課税というわけではありません。

 

宗教活動とは関係のない事業、いわゆるUnrelated Businessを行って一定の所得が生じた場合には、原則としてその所得に課税されます。

 

さらに、教会などの免税団体から、その代表者などの関係者に不当に大きな経済的利益を与える「Excess Benefit Transaction(過大な利益供与取引)」が行われた場合には、ペナルティ税が課される可能性があります。

 

たとえば、教会の代表者に不当に高額な報酬を支払う、教会のお金で代表者の私的な支出を負担する、教会の資産を代表者に不当に安い価格で譲渡するといったケースです。

 

この点は、今回の高野山の問題とも共通しています。

 

宗教活動に税制上の配慮をすることと、宗教団体の財産を代表者個人のために使うことは、別の問題なのです。

次ページなぜIRSは教会を簡単に税務調査できないのか

人気記事ランキング

  • デイリー
  • 週間
  • 月間

メルマガ会員登録者の
ご案内

メルマガ会員限定記事をお読みいただける他、新着記事の一覧をメールで配信。カメハメハ倶楽部主催の各種セミナー案内等、知的武装をし、行動するための情報を厳選してお届けします。

メルマガ登録
会員向けセミナーの一覧