米国中間選挙で激化する富裕層課税論争…巨額の政治資金が揺さぶる米国民主主義【国際税理士が解説】

米国中間選挙で激化する富裕層課税論争…巨額の政治資金が揺さぶる米国民主主義【国際税理士が解説】
(※写真はイメージです/PIXTA)

米国の中間選挙では、富裕層への課税強化をめぐる議論が大きな注目を集めています。一方、ビリオネアたちは巨額の資金を投じて選挙に介入し、自らの財産や利益を守ろうとしています。富裕層の中にも課税強化を支持する声がある一方、その方法をめぐっては意見が分かれています。こうしたアメリカの政治状況を日本と比較すると、選挙で問われる政策や国民の政治参加のあり方にも、大きな違いが見えてきます。『トランプ劇場と超富裕層課税』の著者がある奥村眞吾税理士が解説します。

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トランプ氏が肩入れするテキサス州の上院選挙

日本でも連日のように報道されているアメリカの中間選挙。トランプ大統領が各地で選挙応援演説を行い、共和党候補への支持を呼びかけています。なかでもトランプ大統領が神経をとがらせているのが、共和党の牙城とされるテキサス州の上院選挙です。民主党の有力候補であるジェームズ・タラリコ氏が勝利する可能性が取り沙汰されているためです。

 

共和党候補はケン・パクストン氏です。同氏は2003年から2013年までテキサス州の上院議員を務め、その間に私腹を肥やしたとされ、2013年には州証券詐欺事件で起訴されましたが、2022年に無罪となっています。その後、2015年からテキサス州の司法長官を務めてきましたが、2023年には州議会下院で弾劾訴追され、州上院での審理を経て無罪となりました。

 

さらに、司法長官就任後は350回以上にわたって州外や国外に公費で出張していたとされます。最近では愛人問題まで発覚し、夫人から離婚届が提出される事態となっています。

 

これほど数々の問題を抱えているにもかかわらず、トランプ大統領はパクストン氏を強力に支援しています。同氏は第一次トランプ政権時代から一貫してトランプ氏を支持しており、MAGA運動の有力な推進者だからです。

 

その支援には、イーロン・マスク氏も加わっています。マスク氏は全米で4億4,500万ドル(約710億円)をトランプ氏が支持するMAGA候補者のために投じ、そのうち1億4,800万ドル(約240億円)もの個人資金をパクストン氏の選挙支援に充てているとされます。日本の政治資金規正法の下では、なかなか想像できない規模の資金です。

ビリオネア課税をめぐり、富裕層の間でも意見が対立

今回の中間選挙では、各州でさまざまな住民投票も実施されます。カリフォルニア州では、Prop 40と呼ばれる、資産1,600億円以上のビリオネアを対象とした超富裕層課税の行方が注目されています。

 

また、州所得税のないワシントン州では、年間所得が100万ドル(約1億6,000万円)を超える人に9.9%の州税を課す、いわゆる「ミリオネア税」について住民投票が行われます。

 

カリフォルニア州の超富裕層課税案に対しては、案の定、ビリオネアたちが強烈な反対運動を展開しています。一人当たり数百万ドルもの資金を選挙運動に投じ、課税案を廃案に追い込もうとしているのです。

次ページ富裕層の税負担を増やすべきと考えるビリオネアも

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