ペーパーレス化で印紙税はなくなるのか
この答弁からすでに長い年月が経過しています。その間、電子契約や電子商取引は急速に普及し、企業間取引において紙の契約書を作成しないケースも珍しくなくなりました。
それでも、印紙税そのものは現在も存続しています。
印紙税は、経済取引に伴って作成される文書の背後にある経済的利益や、文書によって法律関係が安定することなどを課税根拠としています。しかし、取引の電子化が進めば、「紙の文書を作成すること」に着目した課税との間に、制度上のギャップが生じることは避けられません。
同じ経済取引であっても、紙で契約書を作成すれば印紙税がかかり、電子契約であれば原則として印紙税がかからないという違いが生じるためです。
もっとも、現時点では、ペーパーレス化が進展しているからといって、政府が印紙税を廃止する方向に動いているわけではありません。
印紙税は、約330年前の英国で戦費調達を目的として導入された制度を起源とし、日本でも明治時代から続いています。デジタル化が進む現在、その課税根拠や紙と電子データとの間に生じる課税上の違いをどのように考えるのか。印紙税は、まさに税制が社会の変化にどのように対応するのかを考えるうえで、興味深い税といえるでしょう。
矢内 一好
国際課税研究所
首席研究員
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