契約書などを作成すると、なぜ印紙税を納めなければならないのでしょうか。印紙税は、経済取引に伴って作成される文書に着目して課税する「流通税」の一つです。その起源は古く、英国では17世紀に戦費調達を目的として導入され、日本でも明治時代から続いています。一方、電子契約の普及によって、紙の契約書を作成しなければ印紙税がかからないという課税上の違いも生じています。印紙税はなぜ存在し、電子化が進む現在も残り続けているのでしょうか。その課税根拠と制度の考え方を見ていきます。
印紙税はなぜ課税されるのか
では、そもそも印紙税はなぜ課税されるのでしょうか。
印紙税の課税根拠については、令和5年6月に政府税制調査会が取りまとめた「わが国税制の現状と課題―令和時代の構造変化と税制のあり方―」に、その考え方が示されています。
そこでは、印紙税の性格について、主に次の3点がポイントとして挙げられています。
① 課税文書の作成の背後には、経済的利益があると考えられること
② 文書を作成することによって、取引当事者間の法律関係が安定化すること
③ 文書の作成行為の背後に担税力を見いだして課税すること
つまり、印紙税は単に「紙に税金をかける」という制度ではありません。経済的な取引が行われ、その事実を契約書などの文書として明確にすることで、当事者間の法律関係が安定することに着目して課税する制度とされています。
ここに、現在のデジタル社会における印紙税の大きな問題があります。
国際課税研究所首席研究員 博士(会計学)。
中央大学大学院商学研究科修士課程修了。昭和50年東京国税局に勤務、平成2年退職。産能短期大学助教授、日本大学商学部助教授、教授を経て平成14年中央大学商学部教授(平成30年退職)。税務大学校講師、専修大学商学研究科非常勤講師、慶應義塾大学法学研究科非常勤講師、新潟産業大学経済学部非常勤講師、武蔵大学経済学部非常勤講師を歴任。
著書に『国際課税と租税条約』(ぎょうせい、第1回租税資料館賞受賞)、『租税条約の論点』(中央経済社、第26回日本公認会計士協会学術賞)、『移転価格税制の理論』(中央経済社) 、『詳解日米租税条約』(中央経済社)など。
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