トランプ一族は「過去の税務調査」を免れるのか…「反武器化基金」廃止でも残った異例の特権【国際税理士が解説】

トランプ一族は「過去の税務調査」を免れるのか…「反武器化基金」廃止でも残った異例の特権【国際税理士が解説】
(※写真はイメージです/PIXTA)

米国では、トランプ政権の司法長官人事の承認と「反武器化基金」をめぐり、異例の問題が浮上しました。トランプ大統領の元私的弁護士であるトッド・ブランチ氏は、司法長官への就任に向けて、上院議員から反武器化基金の撤回を求められていました。最終的に基金は廃止され、ブランチ氏は2026年8月8日、上院本会議での賛成50、反対49という僅差の採決を経て、正式に司法長官に就任しました。しかし、問題はそれだけではありません。修正された和解案には、トランプ氏本人や息子たち、さらにトランプ氏の事業について、過去の確定申告に対する税務調査を制限する内容が残されています。はたして、現職大統領とその一族だけが「過去の税務調査を免れる」という異例の扱いは認められるのでしょうか。

修正和解案は本当に成立するのか

もっとも、現段階で注意すべきなのは、税務調査免責の範囲を限定した今回の修正内容が、最終的に成立したと確認されたわけではないことです。

 

今回の和解には、トランプ氏側だけでなく、その家族や事業関係者、IRS、司法省など、複数の関係者が関わります。

 

そして、現時点では、基金廃止と税務調査条項の範囲限定を定めた文書はブランチ氏の署名にとどまり、トランプ氏本人や息子たち、事業側が正式に署名した文書は公表されていません。

 

したがって、「トランプ氏とその家族の税務調査免責の範囲が確定した」と断定するのは早計です。今後、正式な合意文書が公表され、その内容が明らかになるかどうかが重要なポイントになります。

 

特に注目すべきなのは、反武器化基金の廃止は文書として確定した一方で、税務調査に関する条項の法的な位置づけは、依然としてあいまいなままだという点です。

ブランチ氏の司法長官就任で何が変わったのか

そして、もう一つ大きな問題が残っています。

 

それが、ブランチ氏自身が司法長官に就任したという事実そのものです。ブランチ氏は、トランプ氏の私的弁護士、司法副長官、司法長官代理を経て、2026年8月8日、上院本会議で賛成50、反対49の僅差により、米国司法省のトップである司法長官に正式に就任しました。共和党からもスーザン・コリンズ議員、リーサ・マーカウスキー議員の2人が反対に回るなど、与党内からも懸念の声が上がるなかでの承認でした。

 

もちろん、過去に大統領の弁護士を務めていたという事実だけで、司法長官として不適格だと判断することはできません。

 

しかし、トランプ氏自身が当事者となっている訴訟や、トランプ氏の税務問題に関与してきた人物が司法省のトップとなった以上、「司法省が大統領個人の利益のために利用されることはないのか」という懸念が出るのは当然でしょう。

 

しかも、今回の和解案をめぐっては、まさにブランチ氏が司法長官代理として関与していたとされています。その人物が正式に司法長官となったことで、司法省とトランプ大統領との距離は、これまで以上に近くなったといえます。

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