納税者の負担増は「仕方がない」のか?住宅価格高騰で広がる米国の〈減税論〉。今こそ考えたい、日本の「固定資産税のあり方」【国際税理士が解説】

納税者の負担増は「仕方がない」のか?住宅価格高騰で広がる米国の〈減税論〉。今こそ考えたい、日本の「固定資産税のあり方」【国際税理士が解説】
(※写真はイメージです/PIXTA)

土地や住宅を所有している限り、毎年かかる固定資産税。地方自治体にとって重要な財源であることは日米共通ですが、住宅価格の高騰により税負担が増加する米国では、近年、評価額の上昇抑制や減税を求める「property tax revolt(固定資産税の反乱)」が広がっています。そんななか、「納税者の負担をどう抑えるか」という税制の“在り方”を問う問題を、日本はどう考えるべきなのでしょうか。

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日本の固定資産税の仕組み━━「売買価格」と異なる「評価額」

日本の固定資産税は、土地・家屋・償却資産を課税対象とした地方税です。

 

税額は原則として「課税標準額×1.4%」で計算されますが、自治体によっては異なる税率を設定することもあります。市町村が設定した土地や母屋の評価額は、原則として3年に一度見直しが行われます。

 

土地の固定資産税評価額は、実際の売買価格そのものではありません。土地の評価は、地価公示価格等に基づき行われるため、「1億円で売れたから、固定資産税評価額も1億円」というように、単純に考えることはできないのです。

 

地価によって税負担額が変動するこの仕組みは、多くの納税者にとって「自分の土地がいくらで評価されたのか」が非常に分かりにくいものであると言えるでしょう。しかしながら、日本では「地価の高さで固定資産税が変化する」という前提自体は、基本的に「当たり前」のものとして受け止められているようです。

 

一方、米国では、住宅価格の急激な上昇と、それに伴う固定資産税の負担増をめぐる議論が、近年活発に繰り広げられています。

州や自治体によって大きく異なる「米国の固定資産税」

米国のproperty tax、いわゆる固定資産税は、主に地方政府が課税します。日本とは異なり「全国一律の税率」が存在しないため、税率や評価方法、軽減措置など、地域による違いが日本以上に大きいという特徴があります。

 

2024年のタックス・ファウンデーションの調査によると、持ち家住宅を対象に、実際に支払われた固定資産税を住宅価値で割った実効税率は、全米平均でおよそ0.90%でしたが、州別に見ると、ニュージャージー州やイリノイ州が1.88%、カリフォルニア州が0.70%、ワイオミング州は0.53%と、州ごとに非常な大きな税率の差があることが分かります。

 

さらに、近年米国で問題となっているのが、不動産価格の高騰です。

 

タックス・ファウンデーションによると、2020年以降、米国の住宅価格はインフレ率を大幅に上回る上昇を続けています。2020年から2024年7月までの全米住宅価格は、名目ベースで54.4%、インフレ調整後でも26.7%上昇しました。

 

このような不動産価格の急激な値上がりは、住宅価値と固定資産税評価額が連動する地域において、深刻な税負担増の問題を生み出しています。

 

次ページ「資産価値は上がったが、収入は増えない」という問題

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