国税不服審判所が「合理的」と認めた理由
国税不服審判所は、税務署の主張を退けました。
合意書の目的については、代償金を考慮したうえで両者の相続税の課税価格を等しくすることにあり、特例適用後の価額を使うこともその目的に沿ったものと認めました。
さらに、特例適用後の価額を使ったとしても相続税の総額自体は変わらない以上、この計算方法が「相続税の負担を不当に減らす」ためのものとはいえないとして、Bさんが申告すべき代償金の額は、合意書どおりの金額で確定しました。
代償分割で注意すべきこと
この裁決からみえてくるのは、代償分割における代償金の税務上の評価額は、通達に示された算式だけが唯一の計算方法ではなく、相続人全員の協議に基づく合理的な計算方法にも余地があるという点です。
ポイントは、単に「相続人同士で話し合って決めた」というだけでは足りず、その計算方法が、相続税の総額を変動させたり、特定の相続人の税負担を不当に減らしたりする目的がないという点です。
本件では、単にAさんとBさんが合意していたというだけでなく、その計算方法が両者の課税価格を公平に調整するためのものであり、相続税の総額を変動させたり、税負担を不当に減らしたりするものではなかったことが、「合理的と認められる方法」と判断された大きな理由といえるでしょう。
代償分割を選ぶ場面では、「相続税の申告でその金額をどう扱うか」まであらかじめすり合わせておくことが重要になりそうです。
高橋 創
税理士
【注目のセミナー情報】
【資産防衛】10月14日(水)オンライン開催
約30年ぶりの世界的金利変動が生み出した
新たな「お宝保険」の全貌
【国内不動産】10月17日(土)
実質利回り15%前後を狙う「トランクルーム投資」とは?
住宅価格・家賃高騰で高まる「収納ニーズ」
【関連記事】
■月20万円もらえるはずが…45歳・サラリーマン「ねんきん定期便」に抱いた違和感。「年金ルール」知らずにそのまま20年…65歳で受け取ることになる年金額に唖然「何かの間違いでは?」
■「銀行員の助言どおり、祖母から年100万円ずつ生前贈与を受けました」→税務調査官「これは贈与になりません」…否認されないための4つのポイント【税理士が解説】
■親が「総額3,000万円」を子・孫の口座にこっそり貯金…家族も知らないのに「税務署」には“バレる”ワケ【税理士が解説】

