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トランプ劇場と超富裕層課税 増税か、減税か――税制が映し出すアメリカの真実
奥村眞吾(著)+ゴールドオンライン(編集)
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名義は妻、支払いは夫の生命共済…「満期金」は贈与にあたるか
Aさんは、加入していた生命共済契約が満期を迎えたことから、「満期共済金」を受け取りました。この契約は、契約者・被共済者・受取人のいずれもAさんとなっていました。
通常、「自分で契約し、自分で受け取る」満期共済金であれば、その利益部分は一時所得として所得税の課税対象となります。しかし、この契約の掛金はすべて、夫であるBさん名義の口座から自動振替で支払われていました。つまり、形式上はAさんの契約でありながら、実際の資金負担はBさんが担っていたという構図です。
このように、名義と実態が一致しないケースは決して珍しいものではありません。夫婦間であればなおさら、どちらが負担しているかを厳密に区別しないまま支払いが行われることも多く、線引きが難しいこともたしかです。
しかし税務署は、「掛金を負担していたのはBさんである」ことを理由に、満期共済金はBさんからAさんへの贈与に当たるとして、Aさんに贈与税の課税処分を行いました。これに対し「実質的には自分が負担していた」とAさんが反論したことで、争いは国税不服審判所に持ち込まれることとなりました。
本件の争点は、共済掛金を実際に負担していたのは誰かという一点に尽きます。その負担者によって、満期共済金が贈与とみなされるかどうかが決まるためです。
支払いは夫婦の「家計調整の一環」と主張したAさん
納税者(Aさん)の主張
Aさんは、掛金は実質的に自らが負担しており、満期共済金は贈与には該当しないと主張しました。
Aさんには掛金を支払うだけの十分な収入があり、実際に所得税の申告では生命保険料控除を適用していたことなどを挙げ、Bさんの口座から支払われていたのはあくまで手続上の都合にすぎないとしました。
また、夫婦間では生活費の分担を通じてバランスを取っており、Aさんが食費や教育費などを多く負担することで、掛金相当額は実質的に精算されていたと述べました。
課税庁の主張
これに対し課税庁は、掛金が口座振替で支払われている場合、その口座名義人が負担者と認定されるのが原則であるという明確な基準を示しました。
この原則を覆すには、「実際には別の者が負担していた」と認められるだけの具体的かつ客観的な証拠が必要ですが、Aさんの主張は曖昧で具体性に欠け、信用性が乏しいと反論。
また、生命保険料控除の適用についても、あくまで申告上の取扱いにすぎず、申告書に記載したことが実際の負担者を示す根拠にはならないと整理しました。

