(※写真はイメージです/PIXTA)

相続税の申告は、被相続人が亡くなってから10カ月という限られた期間で慌ただしく行うこととなるため、相続税の申告をしたあとに「申告内容が間違っていた」と気づくケースも少なくありません。納税者自身が「あの申告は多すぎた、減らしてほしい」と自分から言い出す更正の請求の場合には、その事実を立証する負担は納税者に回ってきます。相続税の申告後、非上場株式の評価額が過大だったとして「更正の請求」を行った事例をご紹介します。ここでは納税者が「粉飾があった事実」を証明できるかどうかが問題とされました。

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「更正の請求」とは?申告後に相続税の減額を求める手続き

相続税の申告において、財産の計上漏れが発覚した場合、修正申告をしたうえで追加の税額を納付することになります。他方、減額の可能性が発生した場合には、修正申告ではなく「更正の請求」という手続きが必要となります。

 

更正の請求とは、税額が減ることとなった事情を税務署に説明し、税額の修正をお願いするもので、納税者側に説明義務が生じます。

 

では、相続税の申告後に粉飾決算が発覚した場合、「更正の請求」手続きによって、粉飾決算で水増しされた利益を取り除き、株式の評価を下げることは可能なのでしょうか。

粉飾による利益を取り除き、評価額を下げることは可能か

Aさんは、父親が代表を務めていた取引相場のないB社の株式を相続しました。

 

取引相場のない株式は、会社の利益水準や純資産の額をもとに評価額が計算されますので、会社の決算書の数字が評価額に直結します。

 

相続税の申告にあたって、B社の株式は、当時1株4,368円と評価されていました。

 

しかし5年後、Aさんは「この会社は、父親の代に利益を水増しする粉飾決算をしていたため、本来の評価額はもっと低いはず」として、相続税の更正の請求を行いました。

 

Aさんは、粉飾によって上積みされた利益を取り除いて計算し直すと、1株あたりの評価額は727円になると主張しました。

 

しかし、税務署はこの請求に対し「更正をすべき事実が確認できない」と判断。

 

請求を認めない処分を行ったため、両者は国税不服審判所で争うこととなりました。

 

次ページ争点:例外的な評価方法を用いる「特別の事情」があるか

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