「兄が弟に払った1億5,800万円」はそのまま相続税の対象にならない?代償分割で税務署と相続人の主張が真っ向対立したワケ【税理士が解説】

「兄が弟に払った1億5,800万円」はそのまま相続税の対象にならない?代償分割で税務署と相続人の主張が真っ向対立したワケ【税理士が解説】
(※写真はイメージです/PIXTA)

不動産を中心に相続した相続人たちが現金を支払って調整する「代償分割」。では、その代償金は相続税の計算でも、そのまま使えばよいのでしょうか。今回、1億5,800万円ほどの代償金をめぐり、相続人と税務署の見解が対立しました。争点となったのは、小規模宅地等の特例を適用した後の価額を使った「代償金の計算方法」。国税不服審判所が示した判断から、代償分割の税務上の注意点を見ていきます。

争点は、合意書の計算方法が「合理的」であるかどうか

この裁決で争われたのは以下になります。

 

この合意書の計算方法(とりわけ小規模宅地等の特例適用後の価額を使う点)は、「合理的と認められる方法」といえるか。

 

◆Bさんの主張

Bさんは、合意書の計算方法は、両者の相続税課税価格を同一にし、相続人間の公平を維持しようとするものだと説明。

 

これは通達趣旨にもとづくものであり、合理的な方法にほかならないというのがBさんの立場です。

 

小規模宅地等の特例適用後の価額を用いる点についても、特例適用後の価額を使っても両者の相続税の総額は変わらない以上、これも合理的な範囲内だと主張しました。
 

◆税務署の主張

税務署は、小規模宅地等の特例はあくまで課税価格の計算上の特例であって、財産そのものの時価評価とは別のものだから、代償金の計算に特例適用後の価額を持ち込むのはおかしい、と反論しました。

次ページ国税不服審判所が「合理的」と認めた理由

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