「いつか使うから」…物であふれる築45年の実家
「お母さん、これ本当に全部とっておくの?」
都内で夫と中学生の子どもと暮らす会社員の直子さん(仮名/45歳)は、久しぶりに帰省した実家のリビングで、思わず声をあげました。
実家は築45年の2階建て木造住宅。75歳になる母親の和江さん(仮名)は、5年前に夫を亡くして以来、ここで一人暮らしを続けています。かつては綺麗好きだった和江さんですが、室内には通販のダンボール、何年分もの新聞紙や折り込みチラシが積み上がっていました。廊下には足の踏み場もなく、階段にまで物が押し出されています。
「汚くてごめんなさい。でも、もったいないでしょ。いつか使うかもしれないんだからね」
和江さんは疲れた表情でそう言いました。
和江さんの収入は、亡くなった夫の遺族年金と合わせた月約18万円の公的年金です。光熱費を払い、日常の買い物をするくらいでは、毎月少し手元には残るはずですが、部屋には通販で買ったのでしょうか、見たこともないような健康器具や、健康食品の箱が並んでいました。
総務省『令和5年住宅・土地統計調査』によると、全国の空き家は過去最多の900万2千戸(空き家率13.8%、前回比約51万戸増)、65歳以上の単身世帯は761万7千世帯(前回比約124万世帯増)と増加しています。高齢単身世帯の67.5%(約514万世帯)が持ち家に居住し、特に築年数が経過した一戸建ての割合が高い傾向にあります。こうしたなか、居住空間の管理が行き届かなくなり、ゴミ屋敷の予兆を見せる「実家の片付け問題」は、子世代にとって、深刻なリスクとなりつつあります。
