バブル崩壊後の税制改革――金融所得をどう把握するか
日本の金融市場では、1987年10月のブラックマンデーによる世界同時株安を契機に、投資所得をどのように把握し、課税するかという議論が本格化しました。
1988年には、政府税制調査会に「納税者番号等検討小委員会」が設置され、納税者番号制度の導入を提言する報告書が公表されました。その後、1992年11月には第2次報告書もまとめられています。
当初、税制調査会では、利子や配当などの投資所得を正確に把握し、給与所得などと合わせて総合課税する方向が検討されていました。
しかし、納税者番号制度の議論を経て、金融所得については総合課税とは異なる方向へ進み、「金融所得一体化課税」という考え方が重視されるようになりました。
金融所得一体化課税とは、利子、配当、株式売却益などの金融所得をまとめて計算し、同じ税率を適用するとともに、金融所得間で損益通算を可能にする仕組みです。
これは株式市場を活性化するための税制面からの政策でしたが、当時は期待されたほど「貯蓄から投資へ」の流れを大きく変えるまでには至りませんでした。
株式投資を促した税制改正――NISAへ続く制度整備
1998年以降は、バブル崩壊による金融機関の再編が進んだ時期であり、税制面でも2001年度改正による企業組織再編成税制など、大きな制度改革が行われました。
金融所得に関しても、以下のような改正が進められました。
① 1999年度改正
有価証券取引税が廃止され、株式等の譲渡所得について申告分離課税制度が導入されました。
② 2002年度改正
特定口座制度が創設され、申告不要制度が導入されたほか、上場株式等に対する軽減税率(10%)が導入されました。
③ NISA制度の拡充
金融庁が推進した少額投資非課税制度(NISA)は、個人投資家の資産形成を後押しする制度として発展してきました。
こうした一連の制度改革は、個人が株式や投資信託を保有しやすい環境づくりを目的としたものです。
