欧州の付加価値税から見える日本への示唆
日本の消費税は、欧州諸国で導入されている付加価値税(VAT)をモデルとして創設されました。EU加盟国では標準税率の最低水準が15%と定められていますが、実際の税率は各国がそれぞれ決めています。
最も高いのはハンガリーの27%で、デンマーク、クロアチア、スウェーデンは25%、フィンランドは24%となっています。一方、ドイツは19%、ルクセンブルクは17%と比較的低い水準ですが、それでも日本の10%を大きく上回っています。
また、多くの国では食料品や書籍など生活必需品に軽減税率やゼロ税率を適用しています。たとえば英国では標準税率は20%ですが、パンや牛乳、野菜などの基本的な食料品にはゼロ税率が適用されています。ドイツでも食料品などには7%の軽減税率が設けられています。
一方で、デンマークは25%の単一税率を採用していますが、その代わり教育や医療、育児などの社会保障制度が非常に充実しています。欧州では、高い消費税率と充実した社会保障を一体で考える国が多く、日本でも税率だけを切り離して議論することはできません。
給付付き税額控除は消費税を補完する制度
食料品減税と並行して検討されているのが、給付付き税額控除です。この制度は、消費税が低所得者ほど負担感が重くなる「逆進性」を緩和するとともに、低・中所得世帯や子育て世帯を支援することを目的としています。
その理論的な基礎となっているのは、ノーベル経済学賞を受賞した経済学者ミルトン・フリードマンが提唱した「負の所得税」です。一定の所得水準を下回る人に対して給付を行うという考え方であり、現在の給付付き税額控除の基本的な発想につながっています。
もっとも、制度の具体的な姿については、税額控除方式を採用すべきだという意見もあれば、現金給付のみで十分という考え方や、社会保険料の軽減で対応すべきだという主張もあり、与野党の間でも見解は一致していません。
いずれの方式を採用したとしても、この制度の恩恵を受けるのは一定の所得層に限られます。その一方で、消費税は社会保障全体を支える基幹財源です。その意味では、給付付き税額控除は消費税に代わる制度ではなく、消費税を補完する仕組みとして位置づけるべきでしょう。
