給付付き税額控除はこれまでと何が違うのか――特別減税・定額給付金・定額減税から読み解く日本の給付政策

給付付き税額控除はこれまでと何が違うのか――特別減税・定額給付金・定額減税から読み解く日本の給付政策
(※写真はイメージです/PIXTA)

2026年2月の高市総理の所信表明を機に、給付付き税額控除の導入に向けた議論が本格化しています。しかし、日本ではこれまでも1998年の特別減税をはじめ、定額給付金、特別定額給付金、定額減税と、形を変えた給付・減税策が繰り返されてきました。今回の給付付き税額控除は、これらと何が違うのでしょうか。過去の制度の内容と効果を振り返りながら、その論点を整理します。

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繰り返されてきた「給付」の歴史――特別減税から定額減税まで

2026年2月の高市総理の所信表明以降、給付付き税額控除導入に向けた具体的な動きが始まり、実務者会議・有識者会議で議論が始まりました。

 

筆者自身、これまで給付金を受け取ったことがある国民の一人ですが、給付付き税額控除以前の1998(平成10)年の特別減税、その後の3度の給付金制度と、給付付き税額控除との間にどのような相違があるのかは、必ずしも明確ではありません。

 

また、個人的な感想としては、直近の定額減税は別として、それ以前の特別減税および3度の給付についての印象は薄いというのが実感です。

 

今後、給付付き税額控除の検討に際しては、諸外国における同制度の分析と共に、日本においてこれまで実施してきた特別減税および3度の給付金制度の結果を踏まえた検討が必要でしょう。

消費税増税の反動で生まれた「特別減税」

(1)1998年:景気対策としての定額控除

橋本内閣(1996年1月11日-1998年7月30日)は、バブル崩壊後の経済低迷期に、消費税率を5%に引き上げたことで不況になり、それを打開するために、1998年4月に総合経済対策を策定し、特別減税による経済活性化を図りました。

 

1998年の特別減税では、減税規模が所得税2.8兆円、個人住民税1.2兆円で、1997年12月に方針が決定され、1998年1月9日に平成10年度税制改正の要綱が閣議決定されました。給与所得者分については1998年2月以後最初に支払われる給与等から源泉徴収による減税が先行して実施され、関連法(所得税法等の一部を改正する法律等)は同年3月31日に成立しています。その後、1998年4月の総合経済対策により、1998年5月に法案が成立したことで、追加の2兆円(所得税1.4兆円、個人住民税0.6兆円)の減税が行われました。

 

この当初案と追加案の合計は、所得税に関して、本人の合計が3.8万円(当初分の1.8万円+追加分が2.0万円)、扶養家族等1人につき合計1.9万円です。個人住民税は本人が1.7万円、扶養家族1人につき0.85万円です。

 

上記の特別減税の対象者は、1998年分所得税の納税者である居住者または総合課税対象の非居住者です。したがって、特別減税の対象となる所得税額が1998年の所得税額を超える場合、その所得税額が限度となることから、超過額が給付されることにはなっていません。
 

(2)1999年:参院選敗北後に実現した恒久減税と地域振興券

上述した総合経済対策では、1998年の当初分と追加分とは別に、1999年にも恒久的な減税を行うとしています。しかし、橋本総理は、1998年7月の参議院選挙での敗北を理由に退陣したことから、実際には小渕内閣(1998年7月30日-2000年4月3日)の手で行われました。

 

減税規模は、所得税3.2兆円、個人住民税1.1兆円の合計4.3兆円です。減税内容は、所得税および個人住民税の最高税率引き下げ、扶養控除額の加算等ですが、定率減税として、所得税額の20%相当額の控除(上限25万円)と個人住民税所得割額の15%(上限4万円)となっています。この定率減税は、2006年分の所得税について税額の10%(12万5000円上限)、個人住民税は税額の7.5%(2万円を限度)と改正され、2007年以降廃止されました。

 

また、1999年の小渕内閣の時代に、商品券の一種である地域振興券が、子供および低所得の高齢者に1人2万円、総額約7700億円が交付されています。

 

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