「結婚したら家を買う」「30代までにマイホームを」――かつて日本のサラリーマンにとって“普通の幸せ”とされていた人生設計が、東京で急速に過去のものとなりつつあります。資材価格の高騰や円安、さらには海外マネーや高所得層の流入によって、都内の新築マンション平均価格は1億円を突破。いまや世帯年収1,000万円を超える世帯であっても、都心で理想の住まいを手に入れることは極めて困難です。親世代が当然のように手に入れてきた「庭付き戸建て」や「職住近接」を妥協せざるを得ない現実の背景には、一体なにがあるのでしょうか。住宅市場の変容を紐解きながら、30代世帯のリアルな葛藤と彼らの今後の選択肢を探っていきます。

今後は「手ごろな住宅」の供給拡大が重要に

一方で、都心部は土地には限りがあるため、住宅供給が需要の増加に追いついていないと西岡氏。住宅価格だけでなく家賃も上昇しており、一般的なサラリーマン世帯にとって、都心居住のハードルが一段と高くなっているといいます。

 

「こうした現象は東京だけの特殊事情ではありません。ニューヨークやロンドン、パリなど世界の大都市が同様の構造変化を先行して経験しています。産業の高度化によって高所得者が都市に集まり、その一方で住宅価格や家賃の上昇によって中低所得層が都心から押し出されているのです」

 

そう分析する西岡氏。では今後、都市部ではどのような対策を取るべきなのでしょうか。価格高騰が続く東京の進むべき道について、西岡氏は次のように語りました。

 

「近年の東京は、世界の大都市が辿ってきた道を歩みはじめています。だからこそ今後は、中低所得層も暮らすことができるアフォーダブル住宅(手ごろな価格の住宅)の供給を拡大するといった対策を通じて、多様な所得層が共存できる都市を維持していくことが重要になるでしょう」

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