35年暮らした4LDKを出ることに…68歳男性が探した住まい
「最初は、せめて2DKくらいは欲しいと思っていたんです」
和彦さん(仮名・68歳)は、35年間連れ添った妻と2年前に離婚しました。
会社員として長く働き、60歳で定年。その後は再雇用で65歳まで勤務し、現在受け取っている年金は月約19万円です。
離婚前に夫婦が暮らしていたのは、郊外にある4LDKの一戸建て。2人の子どもはすでに独立していました。
離婚にあたって財産について話し合った結果、自宅には元妻がそのまま住み続けることになり、和彦さんが家を出ることになりました。
そこで探し始めたのが、自分一人で暮らすための賃貸住宅です。
「それまでずっと一軒家だったので、最初からワンルームや1DKは考えていませんでした。子どもが来ることもあるだろうし、荷物もある。2DKくらいが普通だろうと思っていたんです」
ところが、希望する地域で物件を探してみると、2DKや1LDKでは家賃が6万~7万円台になるものもありました。月19万円の年金から毎月支払うことを考えると、決して小さな金額ではありません。
「払えないわけではないんです。でも家賃7万円なら、1年で84万円でしょう。70代、80代になってもずっと払うと思ったら、もう少し抑えたほうがいいんじゃないかと思うようになりました」
そんなときに知ったのが、市営住宅の募集でした。
公営住宅は、公営住宅法に基づき、住宅に困窮する低額所得者に低廉な家賃で供給される住宅です。入居には所得や住宅に困っていることなど一定の要件があり、単身者が申し込める条件や対象住戸も自治体によって異なります。
たとえば千葉市では、60歳以上など一定の条件に該当する単身者について、原則45平方メートル以下または2DK以下の住宅への申し込みを認めています。また、市営住宅の収入基準で使われる「収入月額」は、受け取っている年金の月額そのものではなく、年間所得から各種控除を行ったうえで算定されます。
和彦さんも自治体の窓口で、年齢や年金収入、離婚後の住居状況などを確認。単身者が申し込める住戸に応募し、選考を経て入居が決まりました。
新居は1DK。家賃は収入などをもとに算定され、月3万4,000円ほどでした。
初めて部屋を見たときは、正直に「狭いな」と思ったそうです。ところが、実際に家具の配置を考えているうちに、その印象は少しずつ変わっていきました。
「寝るところがあって、食事をするところもある。風呂とトイレもある。一人なら、これで十分なんだなって」
