「ここなら一人でも安心」80歳男性が選んだシニアマンション
「住み替えたこと自体は、今でも正解だったと思っています」
そう話すのは、80歳の和夫さん(仮名)です。
妻を6年前に亡くし、その後しばらくは郊外の一戸建てで一人暮らしを続けていました。2人の子どもはそれぞれ家庭を持ち、長男は車で2時間ほど、長女は新幹線を使う距離に住んでいます。
70代後半になると、和夫さんが気になり始めたのが住まいの管理でした。
庭の草取りや2階の掃除は以前より面倒になり、台風のあとには屋根や雨どいも気になります。子どもたちからも「元気なうちに住み替えを考えてもいいんじゃない?」と言われるようになりました。
そこで自宅を売却し、79歳のときにシニア向け分譲マンションへ転居。館内はバリアフリーで、共用スペースもあり、スタッフがいる時間帯には困りごとを相談することもできます。
年金は月約17万円。自宅の売却代金と預貯金もあるため、管理費などを含めた今後の住居費を確認したうえで購入を決めました。
「一戸建てのときは、一日誰とも話さないこともありました。ここではエレベーターに乗れば誰かに会うし、ラウンジへ行けば顔見知りがいる。それだけでも違います」
週に一度は館内の囲碁サークルに参加。近くのスーパーへ買い物に行き、天気のいい日は散歩もします。
内閣府『令和7年版高齢社会白書』によると、65歳以上の一人暮らしは増加しています。65歳以上人口に占める一人暮らしの割合は、2020年時点で男性15.0%、女性22.1%。2050年には男性26.1%、女性29.3%になると推計されています。
和夫さんも、住み替えて半年ほどは「一人でも十分楽しく暮らせる」と感じていました。
ところが最初の大型連休を迎えたとき、普段とは違うマンションの様子に気づきます。
いつもラウンジで会う男性は、娘一家と旅行へ。囲碁仲間の一人は、連休中ずっと息子の家に泊まりに行くといいます。
「明日から孫が来るんですよ」
そううれしそうに話す住人もいました。
和夫さんの子どもたちにも、それぞれ予定がありました。長男一家は妻の実家へ、長女一家は旅行へ行くとのこと。
もちろん、以前から聞いていた予定です。それでも連休初日の朝、いつものように共用スペースへ行くと、ほとんど人がいませんでした。
「普段は一人でも何とも思わないんです。でも、連休になると急に静かになって」
