「結婚したら家を買う」「30代までにマイホームを」――かつて日本のサラリーマンにとって“普通の幸せ”とされていた人生設計が、東京で急速に過去のものとなりつつあります。資材価格の高騰や円安、さらには海外マネーや高所得層の流入によって、都内の新築マンション平均価格は1億円を突破。いまや世帯年収1,000万円を超える世帯であっても、都心で理想の住まいを手に入れることは極めて困難です。親世代が当然のように手に入れてきた「庭付き戸建て」や「職住近接」を妥協せざるを得ない現実の背景には、一体なにがあるのでしょうか。住宅市場の変容を紐解きながら、30代世帯のリアルな葛藤と彼らの今後の選択肢を探っていきます。

地方にある実家は庭付き、ギャップに悲しみ

甲斐さん夫婦の実家は、ともに庭付きの戸建て。ペットを飼ったり、庭で遊んだりしていた経験から、自分たちも「庭付き戸建て」がベストだと考えていましたが、戸建ては予算内だと駅から離れてしまうため、いまはマンションも視野に入れています。ただ、東北出身である妻の実家周辺エリアの物件価格も知っているため、ギャップに悲しさも感じているとこぼします。

 

甲斐さんの両親から「家は買わないの?」と催促されることはありませんが、義父母からは「家賃を払い続けるのはもったいない」といわれたことも。賃貸に比べて持ち家は制限が少なく、長く住み続けることが可能なため、やはり「自分の家を持って安心したい」という思いはあると甲斐さんは話します。

 

「将来、子どもができたとき、自分たちがそうだったように実家があるといいなと思っています。地元の友達やコミュニティを作ってあげたいので、できれば同じところにずっと住み続けたいんです」

 

理想と現実の狭間で葛藤する甲斐さん。マイホーム購入のために資産運用や貯金を続けていても、今後さらに物件価格が高騰する可能性を考えると、不安は拭えないといいます。

 

「このまま値上がりが続く可能性もあり、本当に購入できるのか不安です」

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