「何のために毎日遅くまで…」36歳で考え直した働き方
「別に仕事が嫌いだったわけじゃないんです。ただ、この生活をあと20年以上続けるのかな、とは思っていました」
拓也さん(仮名・36歳)は、大学卒業後から会社員として働いてきました。独身で、結婚の予定は現在のところありません。
以前勤めていたIT関連企業での年収は約500万円。繁忙期には残業が続くこともあり、平日は帰宅して食事を済ませれば、あとは寝るだけという日も珍しくなかったそうです。
それでも30代前半までは、「会社員ならこんなものだろう」と考えていました。
転機になったのは、34歳のころです。
有給休暇を取った平日の午後、近所の喫茶店で本を読んでいると、ふと「こういう時間が週にもう1日あったらいいな」と思いました。
「土日はあるんですけど、掃除や買い物をしたらすぐ終わるんですよ。日曜日の夜には翌日の仕事を考える。給料をもっと増やしたいかと聞かれたら、別にそうでもなかったんです」
そこで初めて、自分が1ヵ月にいくら使っているのかを確認しました。
家賃は6万8,000円。食費が4万円前後、水道光熱費と通信費で約2万円。日用品、衣類、交際費、趣味などを合わせても、通常の月なら支出は17万~18万円ほどでした。
貯蓄は約600万円あります。
「だったら、手取りで20万円くらいあれば普通に生活できるんじゃないかと思ったんです」
そこで拓也さんが探したのは、週4日程度で働ける仕事でした。
厚生労働省は、従来型の正社員より労働時間などを限定した「多様な正社員」の普及を進めており、その選択肢として短時間正社員や選択的週休3日制も紹介しています。働く時間を限定した雇用形態は、育児や介護だけでなく、学び直しや副業などさまざまな目的で活用が想定されています。
拓也さんも転職活動を経て、週4日勤務が可能な会社へ転職しました。
年収は約500万円から約340万円へ。
「160万円下がると考えたら、もちろん大きいですよ。でも、それと自由な時間のどちらを取りたいかと考えたら、僕は時間のほうでした」
