原油高でも〈有事のドル買い〉でもない…論理的説明が困難な「円買い反応」の鈍さは今後も続くのか?【今週の米ドル/円予想レンジ「158~163円」の根拠】

7月22日~7月27日の「FX投資戦略」ポイント

原油高でも〈有事のドル買い〉でもない…論理的説明が困難な「円買い反応」の鈍さは今後も続くのか?【今週の米ドル/円予想レンジ「158~163円」の根拠】
(※画像はイメージです/PIXTA)

先週の米ドル/円は、円買い材料が揃っていたにもかかわらず、161円半ば〜162円半ばというわずか1円程度の狭いレンジでの推移となりました。日米金利差が縮小し、日本の長期金利も下がるなど円が買われやすい状況であったにもかかわらず、どうして円買い反応が限定的だったのでしょうか。その理由と今週の相場展開について、マネックス証券チーフFXコンサルタント・吉田恒氏が考察します。

円買いが鈍かった理由は原油高でも「有事のドル買い」でもない

これまでみてきたように、先週は日米金利差の縮小や日本の長期金利低下に対する円買い反応の鈍さが目立ちました。ではこれは、米国とイランの対立再燃による原油高や、いわゆる「有事の米ドル買い」が円買いを抑えたのかといえば、それも違うように感じます。

 

イラン戦争が始まった当初、原油価格の急騰は米金利の急上昇を招きました(図表4参照)。その結果、日米金利差は拡大し、米ドル高・円安が進みました。ただ、この関係は5月以降大きく崩れています。イラン戦争終結期待から原油価格は下落したものの、米利上げ見通しは変わらず、米金利は上昇傾向が続きました。

 

出所:LSEG社データよりマネックス証券が作成
[図表4]WTIと米2年債利回り(2026年1月~) 出所:LSEG社データよりマネックス証券が作成

 

こうした経緯を踏まえると、原油価格の再上昇が米金利に与える影響は以前より限定的になっていると考えられます。実際、先週の米金利は米インフレ指標が予想を下回ったことに反応し、原油高を尻目にむしろ低下しました。

 

では、円買いが限定的だった理由は「有事の米ドル買い」が影響していたのでしょうか。CFTC(米商品先物取引委員会)統計の投機筋による米ドル・ポジション(非米ドル主要5通貨=円、ユーロ、英ポンド、加ドル、豪ドルで試算)は、すでに過去最高規模の買い越しに達しており、“買われすぎ”が懸念される状況です(図表5参照)。

 

出所:LSEG社データよりマネックス証券が作成
[図表5]CFTC統計の投機筋の米ドル・ポジション(2022年~) 出所:LSEG社データよりマネックス証券が作成

 

また、例年7月以降は夏期休暇を控えポジション調整が入りやすい時期です。こうした季節要因を踏まえると、すでに“買われすぎ”の米ドルが「有事」を理由にさらに買われるより、むしろ調整売りが出て「有事の米ドル売り」になる可能性すらあるのではないでしょうか。

 

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