円買いが鈍かった理由は原油高でも「有事のドル買い」でもない
これまでみてきたように、先週は日米金利差の縮小や日本の長期金利低下に対する円買い反応の鈍さが目立ちました。ではこれは、米国とイランの対立再燃による原油高や、いわゆる「有事の米ドル買い」が円買いを抑えたのかといえば、それも違うように感じます。
イラン戦争が始まった当初、原油価格の急騰は米金利の急上昇を招きました(図表4参照)。その結果、日米金利差は拡大し、米ドル高・円安が進みました。ただ、この関係は5月以降大きく崩れています。イラン戦争終結期待から原油価格は下落したものの、米利上げ見通しは変わらず、米金利は上昇傾向が続きました。
こうした経緯を踏まえると、原油価格の再上昇が米金利に与える影響は以前より限定的になっていると考えられます。実際、先週の米金利は米インフレ指標が予想を下回ったことに反応し、原油高を尻目にむしろ低下しました。
では、円買いが限定的だった理由は「有事の米ドル買い」が影響していたのでしょうか。CFTC(米商品先物取引委員会)統計の投機筋による米ドル・ポジション(非米ドル主要5通貨=円、ユーロ、英ポンド、加ドル、豪ドルで試算)は、すでに過去最高規模の買い越しに達しており、“買われすぎ”が懸念される状況です(図表5参照)。
また、例年7月以降は夏期休暇を控えポジション調整が入りやすい時期です。こうした季節要因を踏まえると、すでに“買われすぎ”の米ドルが「有事」を理由にさらに買われるより、むしろ調整売りが出て「有事の米ドル売り」になる可能性すらあるのではないでしょうか。


