9月15日~9月21日の「FX投資戦略」ポイント
<ポイント>
・先週の米ドル/円は155円を割れると一時152円台まで一段と下落が拡大した。主因は投機筋の円売りポジションの損切りか。
・ただ年初来の円高値、152円更新を前に、金利差や日本の長期金利は円高からかい離。
・今週は日米の金融政策発表をにらみ、円安への戻りを試す可能性も。米ドル/円は152~155円で予想。
先週の振り返り=一時152円台まで米ドル/円下落が急拡大!!
短期間で7円以上の急激な円高=きっかけは長期金利上昇の一服
9月に160円で取引スタートとなった米ドル/円でしたが、すぐに155円台まで急落、そして先週はさらに一時152円台まで一段安となりました(図表1参照)。たった1週間程度で最大で7円以上もの米ドル安・円高となったわけですが、その背景は何だったのでしょうか。
一時163円まで進んだ米ドル高・円安は、基本的に日本の財政規律への懸念を受けた長期金利上昇と連動するものでした。そういった長期金利、10年債利回りは9月に入って早々に3%の大台に乗せたところで上昇が一巡、低下に転じました。これが円安から円高へ転換するきっかけになったということではないでしょうか(図表2参照)。それにしてもなぜ日本の長期金利上昇は一服するところとなったのか。
財政規律維持を要請したベッセント=高市内閣改造はその受け入れの意味か
最近にかけてベッセント米財務長官が、「日本はリフレ政策をやめるべきだ」といった具合に発言し注目されました。これは、別の言い方をすると、高市政権に対して財政規律の維持を要請するといった意味のように感じられます。
こういったなかで、この9月中旬に予想されている高市内閣の改造において、いわゆる「財務省系」と見られている人たちの留任観測の報道が相次ぐところとなりました。それまでは、元財務大臣や現財務大臣はことごとく交代させ、新たな体制で積極財政に一段と踏み出すとの見方が強かったのが、ベッセント長官の発言を前後し一変したようになったのは、財政規律維持の要請に歩み寄ったように見えます。そしてそういったなかでそれまでの「長期金利上昇=円安」も変化に転じたわけです。
ただ、一時152円台まで米ドル安・円高となった動きは、長期金利低下で説明できる範囲を大きく超えたものでした(図表3参照)。そういった意味では、急激な米ドル/円の下落は「行き過ぎ」ということなのか、それとも長期金利低下などとは別の「メカニズム」が働いた結果ということなのか。
27兆円介入を「飲み込んだ」投機円売り=155円割れで損切り!?
2026年の日本の通貨当局による米ドル売り・円買い介入は、これまでですでに27兆円以上に達したと見られています。これは、たとえば2025年の貿易・サービス赤字の4兆円の6倍以上にもなることから、為替需給が大幅な米ドル余剰、つまり米ドル売りの多い状況をもたらした可能性を感じさせます。
仮にそうなら、なぜ米ドル/円はこれまで155円も割れない状況が続いたのか。それは、短期的には圧倒的な取引ボリュームのある投機筋の米ドル買い・円売りが「飲み込んだ」結果だったのではないでしょうか。ただそんな投機筋も、これまで為替介入でも割れなかった155円を割れたことで、ついに抱えていた米ドル買い・円売りポジションの処分を拡大し、それが日本の長期金利低下などで説明できる範囲を超えた米ドル/円の急落をもたらしたということだったのではないでしょうか。
代表的な投機筋であるヘッジファンドの取引を反映しているCFTC(米商品先物取引委員会)統計の投機筋の円ポジションは、9月1日時点の9万枚の売り越しから、8日時点では1万枚と小幅ながら買い越しに転換しました(図表4参照)。これは、今回の急激な円高への転換において、投機筋の円売りポジションの処分に伴う円買い戻しが大きく影響した可能性を再確認するものと言えるでしょう。
今週の注目点=日米の金融政策発表など
日米金利差や日本の長期金利は円高からかい離
これまで見てきたように、先週にかけて大きく円高へ戻すところとなり、一気に2026年に入ってからの対米ドルでの円高値の更新に迫る展開となりました。では今週一気に円高値更新になるかといえば微妙な要因もあります。
今週は日米の金融政策発表が予定されています。そのなかで日銀の利上げはほぼ確実視されてきましたが、ここに来てFRB(米連邦準備制度理事会)も利上げするとの見方が一段と強まってきました。こういったことを受けて、日米の金融政策を反映する2年債利回り差(米ドル優位・円劣位)は大きく拡大し、米ドル安・円高とのかい離が広がってきました(図表5参照)。
最近の円安は、金利差より日本の長期金利上昇の影響を強く受けてきたと見られていますが、そんな長期金利もイラン戦争の継続を受けた原油価格の上昇再燃などによる米長期金利上昇に連れるように先週後半から上昇が再開しました。
今週の米ドル/円は152~155円で予想
日米金利差の拡大、日本の長期金利上昇といった要因は、基本的には米ドル/円の上昇を示唆するもの。今週は、日米の金融政策発表などを受けたこういった要因をにらみながら、米ドル/円がどこまで反発するかを見極める展開になるのではないでしょうか。以上を踏まえ、今週の米ドル/円は、152~155円のレンジで予想します。
吉田 恒
マネックス証券
チーフ・FXコンサルタント兼マネックス・ユニバーシティFX学長
※本連載に記載された情報に関しては万全を期していますが、内容を保証するものではありません。また、本連載の内容は筆者の個人的な見解を示したものであり、筆者が所属する機関、組織、グループ等の意見を反映したものではありません。本連載の情報を利用した結果による損害、損失についても、筆者ならびに本連載制作関係者は一切の責任を負いません。投資の判断はご自身の責任でお願いいたします。
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