(※写真はイメージです/PIXTA)

全東信の粉飾決算疑惑では、預金残高の水増しや架空債権の計上、営業権や関係会社との取引を巡る疑義など、大規模な不正会計の実態が明らかになりつつある。一方で、「20年以上も粉飾が続いていたのに、なぜ見抜けなかったのか」という疑問も少なくない。しかし、不正が発覚した後に責任論だけを語っても再発防止にはつながらない。重要なのは、監査や金融機関はどのような情報を基に判断していたのか、そして企業は粉飾によって何を失うのかという視点である。公認会計士・税理士の貝井英則氏の見解を交えながら、監査や金融機関の役割と限界、そして企業経営において最も重要な「信用」の意味について考える。※本連載は、THE GOLD ONLINE編集部ニュース取材班が担当する。

金融機関にもさまざまな判断がある

報道によれば、全東信に対する金融機関の対応は一様ではなかった。メガバンクが取引を縮小・終了した一方、地方銀行や信用組合などは融資を継続していたとされる。

 

この違いについても、単純に優劣で語るべきではないと貝井氏は話す。

 

「これだけで『メガバンクの審査能力が高かった』と結論づけることはできません。金融機関ごとに融資方針やリスク管理の考え方は異なるためです」

 

もっとも、結果として判断が分かれたことは事実だが、貝井氏は「異なる判断をした金融機関が存在したのであれば、その審査過程やリスク管理の考え方には、今後検証すべき点があるのかもしれません」という。

 

そして、最も重要なのは「結果論」で終わらせないことだという。

 

「『20年間見抜けなかったこと』と『20年間何もしなかったこと』は同じではありません。不正が発覚した後に『なぜ見抜けなかったのか』と言うことは簡単ですが、監査人や金融機関は、その時点で入手できた資料や証拠だけを基に判断しています。後から全容が判明した状態とは情報量が大きく異なります。結果としてメガバンクと地方銀行等で判断が分かれたのであれば、その違いがどこにあったのかを検証することは、今後の融資実務や再発防止の観点からも有意義だと思います」

 

毎年チェックを行っていても、その都度粉飾が更新されていたのであれば、当時の情報だけで全体像を把握することは容易ではないという。

 

「重要なのは、結果論で責任を論じるだけではなく、『どの時点で、どのような兆候を捉えられた可能性があったのか』という再発防止の視点で検証することだと思います」(貝井氏)

次ページ税務調査ではどう見られるのか

人気記事ランキング

  • デイリー
  • 週間
  • 月間

メルマガ会員登録者の
ご案内

メルマガ会員限定記事をお読みいただける他、新着記事の一覧をメールで配信。カメハメハ倶楽部主催の各種セミナー案内等、知的武装をし、行動するための情報を厳選してお届けします。

メルマガ登録
会員向けセミナーの一覧