金融機関にもさまざまな判断がある
報道によれば、全東信に対する金融機関の対応は一様ではなかった。メガバンクが取引を縮小・終了した一方、地方銀行や信用組合などは融資を継続していたとされる。
この違いについても、単純に優劣で語るべきではないと貝井氏は話す。
「これだけで『メガバンクの審査能力が高かった』と結論づけることはできません。金融機関ごとに融資方針やリスク管理の考え方は異なるためです」
もっとも、結果として判断が分かれたことは事実だが、貝井氏は「異なる判断をした金融機関が存在したのであれば、その審査過程やリスク管理の考え方には、今後検証すべき点があるのかもしれません」という。
そして、最も重要なのは「結果論」で終わらせないことだという。
「『20年間見抜けなかったこと』と『20年間何もしなかったこと』は同じではありません。不正が発覚した後に『なぜ見抜けなかったのか』と言うことは簡単ですが、監査人や金融機関は、その時点で入手できた資料や証拠だけを基に判断しています。後から全容が判明した状態とは情報量が大きく異なります。結果としてメガバンクと地方銀行等で判断が分かれたのであれば、その違いがどこにあったのかを検証することは、今後の融資実務や再発防止の観点からも有意義だと思います」
毎年チェックを行っていても、その都度粉飾が更新されていたのであれば、当時の情報だけで全体像を把握することは容易ではないという。
「重要なのは、結果論で責任を論じるだけではなく、『どの時点で、どのような兆候を捉えられた可能性があったのか』という再発防止の視点で検証することだと思います」(貝井氏)
