(※写真はイメージです/PIXTA)

離れて暮らす高齢の親の収入を聞き、「これだけで生活できるのだろうか」と心配になる子どももいるでしょう。仕送りは親の生活を支える方法の一つですが、親子であっても、実際に毎月いくら使い、貯蓄がどのくらいあるのかまで把握しているとは限りません。よかれと思って続けた援助が、親の考えとは違っていることもあります。

「11万円じゃ暮らせないだろ」母へ月10万円の仕送り

浩二さん(仮名・53歳)は、5年前から母の幸子さん(仮名・79歳)に毎月10万円を送っています。きっかけは、父が74歳で亡くなったことでした。

 

幸子さんは地方の持ち家で一人暮らし。住宅ローンはありませんが、年金収入は月約11万円です。

 

父が亡くなったあと、浩二さんは母の今後が心配になりました。

 

「11万円じゃ暮らせないだろ。足りない分は俺が出すから」

 

当時48歳だった浩二さんは会社員で、妻も働いています。子どもはすでに大学生になっており、教育費の負担も数年で終わる見通しでした。

 

固定資産税や家の修繕、家電の買い替えなどもあるだろうと考え、最終的に10万円を送ることにしました。

 

幸子さんは「そんなにいらないよ」と何度か断りました。それでも浩二さんは、「余ったら取っておけばいいから」と振り込みを続けました。

 

総務省『家計調査報告〔家計収支編〕2025年平均結果の概要』によると、65歳以上の単身無職世帯では、1ヵ月の可処分所得が平均11万8,465円なのに対し、消費支出は14万8,445円。平均では約3万円の不足となっています。もちろん住居費や生活水準によって大きく異なりますが、年金だけでは支出を賄えず、預貯金などで補う世帯もあります。

 

浩二さんも「年金11万円では足りない」という認識でした。仕送りを始めてからも、幸子さんからお金について相談されることはありませんでした。

 

「ありがとう。助かってるよ」

 

電話ではそう言うので、浩二さんも「送っておいてよかった」と思っていたといいます。

 

ただ、仕事が忙しく、実家に帰るのは年末年始を中心に年1回程度。電話はしていても、母が普段どのような生活をしているのかまでは知りませんでした。

 

そんなある日、浩二さんの仕事の予定が急に空きました。母には知らせず、その日のうちに実家へ向かうことにします。

 

玄関を開けた幸子さんは、「どうしたの、急に」と驚きました。浩二さんがさらに驚いたのは、そのあとのことでした。

 

冷蔵庫には特売日に買った食材が並び、昼食は前日の煮物とご飯。エアコンも必要な部屋だけで使い、洋服や家具も長く使っているものばかりです。

 

「母さん、毎月送ってる金、ちゃんと使ってる?」

 

何気なく聞いた浩二さんに、幸子さんは「ほとんど残してるよ」と答えました。

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