税金を軽くし、低所得者には現金を給付…世界で広がる「給付付き税額控除」――日本版はどう設計されるのか【国際税務の専門家が解説】

税金を軽くし、低所得者には現金を給付…世界で広がる「給付付き税額控除」――日本版はどう設計されるのか【国際税務の専門家が解説】
(※写真はイメージです/PIXTA)

食料品への消費税率を2年間ゼロ%とした後、給付付き税額控除を導入する予定です。納税者には税額控除を行い、税額控除しきれない人や納税義務のない人には現金を給付することで、税制と社会保障を一体的に運用する仕組みです。すでに欧米ではさまざまな形で導入されており、低所得者支援や勤労支援、消費税の逆進性対策など、それぞれの国の事情に応じて制度設計が行われています。日本でも導入論が現実味を帯びるなか、どの国の制度を参考にするのか、日本独自の制度を構築するのかが大きな論点となっています。

海外制度を参考にした「日本版」は誕生するのか

税制改革では、海外で成果を上げている制度を参考にしながら、自国の制度設計を進めることは珍しくありません。

 

たとえば、日本で2002年に導入された連結納税制度は、米国の制度を参考に設計されました。一方、移転価格税制における事前確認制度(APA)は、日本で整備された制度が米国にも取り入れられています。このように、各国が互いの制度を参考にしながら税制改革を進めることは、国際的にも一般的な手法となっています。

 

給付付き税額控除についても、日本が一から制度を構築するのではなく、海外の先行事例を参考に制度設計を進める可能性は高いと考えられます。そのまま外国の制度を導入できるわけではありません。税制や社会保障制度、地方税制度、行政組織、さらには国民の働き方や家族構成まで、それぞれの国で大きく異なるためです。

 

2012年に税制調査会が公表した資料では、米国、英国、ドイツ、フランス、オランダ、スウェーデン、カナダの制度が紹介されています。当時から10年以上が経過し、各国とも制度改正を重ねていますが、日本が制度設計を行う上で参考となる基本的な考え方は今も変わっていません。

 

今後、社会保障国民会議などで具体的な制度設計が議論されることになりますが、その際の最大の論点は、「どの国の制度をモデルとするのか」、あるいは「日本独自の制度を構築するのか」という点になるのではないでしょうか。

次ページ消費税の逆進性を緩和するカナダの生活支援制度

人気記事ランキング

  • デイリー
  • 週間
  • 月間

メルマガ会員登録者の
ご案内

メルマガ会員限定記事をお読みいただける他、新着記事の一覧をメールで配信。カメハメハ倶楽部主催の各種セミナー案内等、知的武装をし、行動するための情報を厳選してお届けします。

メルマガ登録
会員向けセミナーの一覧